テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 糸のメモワール ~

2018-04-09 22:15:19 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふゥ~きィ~とォ~ばァ~さァ~るゥ~ッ!」
「がるる!ぐるがるるぅ!」(←訳:虎です!春の嵐だよぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 昼間は吹き荒れた暴風もようやく止んで、
 肩のチカラをホッと脱き、
 サッカー日本代表の監督解任のニュースにおののき、
 MLBの大谷くんの偉業にまたも驚かされたりしながら、
 さあ、一日の締めくくりは読書タイムです♪
 本日は、こちらの短編小説集を、どうぞ~!
 
  



         ―― 口笛の上手な白雪姫 ――



 著者は小川洋子(おがわ・ようこ)さん、2018年1月に発行されました。
 多くのファンさんが待望していた小川さんの新刊には
 短篇8作品が収録されています。

「ふァ~! こんかいィのォ、だいめいィもォ~…」
「ぐるるるるるぅ!」(←訳:ミステリアスぅ!)

 『口笛の上手な白雪姫』――

 この題名に、私たち読み手の脳裏には
 どんなイメージが湧いてくるかというと……

 ディズニー映画の、白雪姫でしょうか。
 図書館の児童書コーナーに置かれている
 幾種類もの絵本でしょうか。

 それとも、お姫さまや魔女の図像ではなく、
 七人の小人たちが住んでいた小さな家、
 白雪姫の避難場所となった
 森の奥の小屋の様子でしょうか。

「ありそうでェ、ないィのでス!」
「がるるる!」(←訳:小さな家!)

 もしも、そんな小屋があったなら。

 ディズニーの物語を知っている女の子たちは
 憧憬の眼差しを向けちゃうわよね。

 アーチの扉、
 赤レンガの煙突、
 鎧戸月の窓に、三角の屋根。

 ついつい扉のノッカーをコンコンとしたくなるけれど、
 その小さなお家に実際に暮らしているのは……?

「ふしぎなァ、じんぶつゥ!」
「ぐるがるるるるぐっるがる!」(←訳:音楽みたいなひとだね!)

 目にはさだかに見えぬとも、
 わずかな隙間から忍び出て、
 いちしか四辺に満ちる音楽のような、
 小さな家の住人のものがたり
 『口笛の上手な白雪姫』は、
 本文の8番目――御本の最後に収められています。

 読後、ずしりとこころに残るこの表題作品は、
 そのまま映像にしたいほど
 完成された《画》を有していますが、
 私ネーさが激おすすめしたいもう一作は、
 
 『亡き王女のための刺繍』。

「ごほんのォ、にばんめッ!」
「がるるるぐるがるるるる!」(←訳:2番目に収録されてます!)

 こちらは、アイロンがけの匂いと、
 規則正しいミシンの音と、
 指に最初はひんやりと冷たく、
 少しずつ肌の熱になじんでゆく針の感覚が手に甦るような、
 《糸》のメモワールです。

 洋裁や和裁、
 布仕事に愛着を持つ御方にとっては
 素通りできない、
 さまざまな記憶を呼び起こす回想と、
 悲嘆のカケラと。

「こッちはァ、えいがァじゃなくてェ~」
「ぐるるるるるるがるる!」(←訳:ラジオドラマがいいな!)

 読み手の想像力を
 大きく掻き立てる語りのちから。

 発表時のものに加筆修正、
 再構成した、といいますから、
 雑誌に載ったときにもう読んだわ!という御方も、
 どうかぜひ、
 あらためて単行本を手に取ってみてくださいね♪
 
 
コメント
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