テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

あの日から、今も。

2018-04-23 22:40:11 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでスゥ!
 うぐぐふゥ~! さむいィ~でスよゥ!」
「がるる!がるぐるるぅる~!」(←訳:虎です!風邪引いちゃう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 いやいやいや、もうじきGW♪だというのに
 風邪なんか引いてはいられませんよ。
 熱々の飲みもので身体を内側から温めたら、
 さあ、今日も読書タイムです。
 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!
 
  


           
          ―― 津波の霊たち ――



 著者はリチャード・ロイド・パリーさん、
 原著は2017年に、日本語版は2018年1月に発行されました。
 英語原題は
 『Ghosts of the Tsunami Death and Life in Japan's Disaster Zone』、
 『3・11 死と生の物語』と日本語副題が付されています。

 前回記事で御紹介した『太陽系観光旅行読本』は、
 ひょうきんな題名とは逆に
 ごくマジメに太陽系内の星々の現況を論じたサイエンス本でした。

 こちらの御本も、
 題名に『霊』とありますものの、
 オカルトやホラーのジャンルには属しません。

「ちょしゃさんはァ、じゃーなりすとォさんッ!」
「ぐるるがるぐっるるるるるる!」(←訳:日本をよく知っているのです!)

 著者・パリーさんは現在、
 英《ザ・タイムズ》紙のアジア編集長にして
 東京支局長でもあるジャーナリストさんです。

 パリーさんが日本に興味を持った契機は、
 なんと、高校在学中に
 クイズ番組で優勝して日本旅行を体験したこと、
 というのですから驚かされますが、
 大学を卒業してフリーランスの記者となり、
 やがて、1995年に来日し、
 英《インディペンダント》紙の特派員を務めもしました。

 ですからパリーさん、在日歴も長く、
 地震というのがどんなものか、
 よく知ってはいたのです。

「しッていたけどォ~…」
「がるるるっる……!」(←訳:知らなかった……!)

 知らなかった、いえ、解っていなかった、のは、
 私たちも同様でしょうか。

 あの地震が起こった日、
 パリーさんは東京にいました。

 かつて経験したことのない揺れに、
 デスクの下に逃げ込んで、
 それから10階分の階段を歩いて下りて、
 戸外に出て。
 
 その時はまだ、想像もしませんでした。

 震源に近い地域を、
 どれほどの災厄が襲いつつあるのか――

「でもォ、すぐゥにゅーすがッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:被災地の様子が!)
 
 オフィスに戻ったパリーさんは
 日本のTV映像から何が起こりつつあるのかを知ります。
 翌朝、車を駆って東北へと向かった彼は、
 それ以降長く、
 震災に関する記事を世界に発信しながら、
 被災した方々へのインタビューも行います。

 地震は、津波は、
 あなたから何を奪ったのか。

「よむのがァ、つらいィでス……」
「がるるるぐるる……」(←訳:悲しくて苦しい……)

 おそらく、余震止まぬ日々の中、
 パリーさんは数知れぬ悲劇と相対したのでしょうが、
 この御本で主に取り上げているのは
 大川小学校を見舞った出来事です。

 あの日の子どもたちのこと。
 子どもたちの お父さんお母さんのこと。
 喪われた未来と、
 失われた平穏のこと。
 
 その場かぎりではない、
 長く、何日も、何年も、
 災厄の名残りを追跡するパリーさんが
 多くのインタビューを経て辿り着いた情景とは……。

「よんでェもらいたいィ、いッさつでス!」
「ぐるるるるがる!」(←訳:たくさんの人に!)

 どうか皆さま、ぜひ。
 
 
 
コメント
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