テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ お喋りバス旅、ふたたび ~

2020-08-14 22:30:23 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 せかいじゅうゥでェ、もうしょッ??」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!どこもアチチ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今年は欧州も日本と同じような猛暑で、
 セーヌの岸辺には水着姿のパリっ子さんが集い、
 涼しいはずの英国南部では34℃超が続いたそうですよ。
 夏バテの恐怖と戦いながらの本日の読書タイムは、
 ゆる~くてホッコリ♪な
 ↓こちらのミステリ作品を、さあ、どうぞ~!

  


 
      ―― バスへ誘う男 ――



 著者は西村健(にしむら・けん)さん、
 2020年4月に発行されました。
 先日ご紹介しました『バスを待つ男』の続編となる
 シリーズ第二作目、ですね。

「あはァ! ばすのォおじさんッ!」
「ぐるがるるぐるるがる!」(←訳:あの都バスマニアさん!)

 トラベルミステリーといえば、
 夜行列車など長距離の鉄道の旅や
 豪華客船の豪華な一等船客フロアが主戦場!

 というのは、過去の話で。

「あらたなァ、ぶたいィ!」
「がるるぐる!」(←訳:それはバス!)

 前作『バスを待つ男』は、
 東京都が運行する都バスが物語の舞台となりました。

 引退前は刑事さん、
 リタイアした今は毎日の~んびり……
 いや、のんびり過ぎて張り合いがない!
 何か趣味を見つけなくちゃ!
 と焦る主人公さんが見つけたのは、
 シルバーパスを使っての
 気ままな一日バス旅。

 あちらの路線、こちらの路線と乗り継ぐうち、
 小さなミステリーに遭遇しては、
 解決の糸口を探し当ててゆく。

 その姿勢は、
 続編であるこの御本でも
 変わっていなくて。

「ただァ~しィ!」
「ぐるるるるがるるる!」(←訳:主人公さん交代です!)

 語り手の『私』は、
 路線バス旅のコーディネーター。

 お客さまの要望をもとに、
 バス路線旅のプランを考案して、
 ガイド役も務めます。

 え、代金ですか?
 いえいえ、これは
 引退後の道楽のようなものだから、
 代金はいただきません。

「うむゥ! ここにもォ、いたのでス!」
「がるぐるがるるる!」(←訳:路線バスマニアが!)

 或る日、お客さまを案内しての
 バス旅が終わったあとのこと。

 『私』は声を掛けられます。

 ―― もしかして貴方、バス旅の……?――

「るいはァともォ、なのでスよゥ!」
「ぐるるぅっるる!」(←訳:呼んじゃったね!)

 『私』と、
 前作の主人公であった元刑事さんが出会うのは
 必然だったのでしょう。

 元刑事さんの名は、炭野さん。

 路線バスという共通の話題で意気投合、
 盛り上がるふたりのお喋りは、
 これもまた必然なのでしょうか。

 バス旅にかかわる
 疑問や迷い、
 謎を解き明かしてゆくことに。

 電車でもタクシーでもなく、
 わざわざ路線バスの旅を選ぶお客さんたち。

 彼らが抱える
 ささやかな、
 けれど本人にとっては決して小さくはない、
 謎の終着点とは。

「とりびあァ、もりだくさんッ!」
「がるぐるるがる!」(←訳:旅の楽しみです!)

 それぞれの謎の細部については、
 ネタバレを避けるためにも
 これ以上はお話しできませんけれども。

 物語のそこかしこに仕掛けられている
 東京の地理&歴史に関する雑学が
 と~っても面白いんです。

 本文51ページの記述では、
 西新井大師さんの三重塔は
 都内に残る唯一の栄螺堂(さざえどう)である
 ……って、
 そうなのぉ!!

「わァおゥ!」
「ぐるる!」(←訳:螺旋だ!)

 会津若松の栄螺堂は有名ですけれど、
 東京都内にも栄螺堂が!
 現在は非公開になっているとはいえ、
 江戸後期に建立された珍しい建築が
 都内にあるなんて!
 知らなかったわ!
 いや、ということは、
 昔むかし、お江戸の町には
 いくつもの栄螺堂があったのかしら?
 
「わくわくゥ!」
「がるぐるる~!」(←訳:見てみたい~!)

 謎と、路線バスと、
 尽きぬお喋り。

 のんびりした休日の読書タイムに
 おすすめのシブ~いミステリ作品は、
 東京の町歩きが大好き♪な方々にも
 手に取っていただきたい一冊です。
 お盆休みの夕暮れに、
 皆さま、ぜひ♫
 

 
コメント
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