テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ みどりの ためいき ~

2020-08-28 22:31:18 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ほわわッ! にッきちょうゥ??」
「がるる!ぐるるるーる!」(←訳:虎です!カレンダーも!)

 こんにちは、ネーさです。
 雑貨店さんで、通販のショップさんで、
 2021年版の手帳やカレンダーが
 販売され始めましたね。
 どれにしようかなぁ~と迷ったり、
 いや決めるにはまだ早過ぎる!と踏み留まったり、
 お買い物シミュレーションを楽しんだあとは、
 さあ、読書タイムです♪
 本日は、こちらのアンソロジーを、どうぞ~!

  


 
       ―― 森の文学館 ――



 編者は和田博文(わだ・ひろふみ)さん、
 2020年7月に発行されました。
 [緑の記憶の物語]と副題が付されています。

 収録されているのは、
 《森》もしくは《緑の記憶》をテーマとした
 37の作品――
 エッセイ、小説、詩歌、
 インタビュー、とさまざまです。

「ちょしゃさんもォ、さまざまァなのでス!」
「ぐるるるがるる?」(←訳:多様性のお手本?)

 そうね、著者さんも、
 宮沢賢治さん・大佛次郎さん・五木寛之さんたち作家さん、
 寺山修司さん・倉本聡さんたち劇作家さん、
 堀口大學さん・俵万智さんたち詩人さん他、
 と、新旧の人気文学者さんが集う中で。

 ひとり、異彩を放っているのは……

「われらがァ、かんとくゥ!」
「がるぐる!」(←訳:宮崎さん!)

 ええ、これは言及しない訳にはいきませんよね。

 本文137ページから155ページにかけて
 掲載されているのは、
 宮崎駿さんへのインタビューです。

 『森の持つ根源的な力は人間の心の中にも生きている
  ――《もののけ姫》の演出を語る』

 と題された、
 おそらく映画『もののけ姫』公開時のもの、
 でしょうか。

「ないようゥ、じゅうじつゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:語りが熱い!)

   『ナウシカ』や『トトロ』を作っていたときは、
   いまよりもう少し幸せだった――

 衝撃的な言葉を
 さらりと吐き出しつつ、
 宮崎さんは『もののけ姫』制作にあたっての
 覚悟や意識を語ります。

   善悪の判断をつけるのは楽だけれども、
   そうじゃないところに
   人間の抱えている問題の複雑さがある。

   であるから、
   こんがらがっている部分を
   こんがらがったまま見せることにした。

   そこを小学生たちに見てほしい――

「しょうがくせいィ?」
「がるぐるるがるるるるぐるる?」(←訳:あの映画は小学生向けなんだ?)

   我々が信じているのは、
   深い森の中に
   なんのためにというのでもなく
   聖なるものが存在している。

   そこが世界のヘソであり、
   自分もいつか
   その清らかなところに
   帰りたいと思っている――

 宮崎さんが考える
 日本人の死生観と、
 屋久島の大樹から感じる
 古代の生命力へと行き着くインタビューは、
 そう長くはないのですが、
 読み応えはヘビー級です。

「もりのォなかにはァ~…」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:何かがいるんだよ!)

 宮崎さんのお話と
 どこか通ずるところがあるのは、
 本文256ページ、
 大佛次郎(おさらぎ・じろう)さんの
 『森の感覚』
 でしょうか。

 『鞍馬天狗』で知られる作家さんは、
 パリ郊外の森を歩きながら
 故国の森と比較します。

   日本には山林はあるが
   平地の森林は残されていない。

   森をわれわれの身近くに
   呼び戻す方法はないのだろうか?

「よびもどしたいィ~でス!」
「がるるるぐるるがるる!」(←訳:そしたら世界が変わる!)

 森への思いが重なるアンソロジーの表紙は、
 大人気の画家・ヒグチユウコさんによる
 ミステリアスなイラストレーションです。

 書店さんの文庫コーナーで、
 ヒグチさんのこのイラストを見つけたら、
 アンソロジー好きな活字マニアさんも、
 ジブリアニメ好きな方々も、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね♪

 
  
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする