テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《隘路》アンソロジー ~

2020-09-07 22:34:03 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あううゥ~…ねぶそくゥなのでスゥ~…」
「がるる!ぐるがるっる……!」(←訳:虎です!台風怖かった……!)

 こんにちは、ネーさです。
 皆さま、御無事でしょうか。
 ここ八王子は台風の進路から隔たっているとはいえ、
 我が家の近くには河川や水路があるため、
 戦々恐々としておりました……
 もう今年は年末まで、
 いえ、来年もその先もずっ~と、
 災害がありませんようにと心の底から祈りながら、
 さあ、読書タイムで気分転換ですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



     ―― 殺意の隘路 (下) ――



 編者は日本推理作家協会の皆さん、
 単行本は2016年に、
 画像の文庫版は2020年5月に発行されました。
 『日本ベストミステリー選集』と副題が付されています。

 人気ミステリ作家さんが競演する
 贅沢なアンソロジーのテーマは
 《隘路(あいろ》、ですね。

「ふァいッ! テディちゃ、しッてまス!
 せまァ~いィみちィのことでスゥ!」
「ぐる~!」(←訳:細道~!)

 そうね、あらためて辞書で調べてみましたら、
 《隘路》は、
   細くて通行困難な道
   険しい道や崖路
 の他に、
   行く手を阻む支障
 などの意味合いも有るようです。

「つまりィ~…」
「がるるるぐるがるるぐる!」(←訳:行かない方がいい所だね!)

 この御本には、

 今野敏さん著『人事』
 長岡弘樹さん著『夏の終わりの時間割』
 初野晴さん著『理由ありの旧校舎――学園密室?――』
 円居挽さん著『定跡外の誘拐』
 麻耶雄嵩さん著『旧友』
 若竹七海さん著『副島さんは言っている 十月』

 と、それぞれの作家さんの特色があらわれている
 短編作品が収録されていますが、
 読み終わったところで――

「あれれッ?」
「ぐるっ?」(←訳:おやっ?)

 なんて具合に首を傾げてしまうのは、
 今野敏さんの『人事』でしょうか。

 『人事』は、
 私ネーさも大ファンの、
 人気シリーズ《隠蔽捜査》から生まれた
 スピンオフともいうべき作品です。

 真っ直ぐすぎる警察官・竜崎伸也さんが
 陣頭指揮に立つシリーズ本編……とは違い、
 ここでの主人公は
 警視庁の野間崎(のまざき)管理官さん。

「むゥ! そのひとッてェ!」
「がるぐぅる!」(←訳:敵役じゃん!)

 竜崎さんとは
 意見が合わない、法の解釈も合わない、
 行動指針も合わなくて、
 徹頭徹尾ソリが合わない、
 そんな立ち位置の野間崎(のまざき)さん。

 けれど、この『人事』に於いては、
 意見が合わないなどと
 言ってはいられないようです。

 新たな本部長がやってきた!

 これすなわち、
 新しい上司さんが来た!
 に他なりませんから、
 野間崎さんも安穏としていられません。

「うまくゥやッてゆけなかッたらァ~…」
「ぐるるるる?」(←訳:どうしよう?)

 警察は厳格な階級組織。
 その中にあって、
 いつもは小憎たらしい敵役の野間崎さんも
 木の葉のように翻弄されます。

 その原因は……やっぱり、竜崎さん?

「ぷふふふぅ♪」
「がるるっ♫」

 マジメなのに、
 ハラハラさせられ、
 ラストではちょっぴり笑いがこみあげてきてしまう
 変わった風合いの警察小説は、
 《隠蔽捜査》シリーズファンの方々に
 おすすめですよ。

 なお、『殺意の隘路』は
 ↓こちらの『(上)』巻も刊行されています。
 
  

 ミステリ好きな活字マニアさんは
 巻末の解説も併せて、
 ぜひ、一読を♪
 

 
 
コメント
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