テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 棕櫚の下に眠る ~

2020-09-08 22:27:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きゅうそくびィ、なのでスよゥ~!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!まずは体力回復!)

 こんにちは、ネーさです。
 現地時間9月7日の《2020ツール・ド・フランス》は、
 トレーニングライドやメディア対応、
 全員がPCR検査を受けたり、と
 選手さんスタッフさんには大忙しの“休息日“となりました。
 第2週目の熱戦にいっそうの期待を抱きつつ、
 さあ、日本の私たちは読書タイムです♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



     ―― タマ、帰っておいで ――



 著者は横尾忠則(よこお・ただのり)さん、
 2020年4月に発行されました。
 『REQUIEM for TAMA』と英語題名が付されています。

 画家・横尾忠則さん……
 いや、ちょっと待った。
 画家……と御紹介して、いいんでしょうか。
 実は、横尾さんは――

「ぶんぴつかさんッ、なのでス!」
「ぐるるがる!」(←訳:驚異の筆力!)

 私ネーさは知っています。

 土曜日の朝刊、
 朝日新聞の書評欄に載る
 横尾さんの文章の素晴らしさを。
 
 小説家さんや学者さんといった
 プロの文筆家さんたちの書評が紙面を埋める中で、
 横尾さんの文章は、
 ひとり、突出していることを。

「ほかのォ、だれともォちがうゥ~のでス!」
「がるるぐるるる!」(←訳:それが横尾さん!)

 超一流の、画力と、文筆力。

 その両方を兼ね備えた横尾さんが、
 この御本で書き、描いているのは、
 タマちゃんの肖像です。

 タマちゃんはネコ――
 ノラ猫でした。
 
 庭に来ていた何匹かのノラの一匹で、
 彼女だけが家の中に入ってきたので
 その日から飼った、
 というタマちゃん。

 以来、15年間を
 横尾さんとタマちゃんは
 ともに過ごしました。

「ふたりはァ、なかよしィ~♫」
「ぐるるるがるぐるがるる!」(←訳:アトリエでも一緒なのさ!)

 横尾さんのお家の、
 おひさまのような存在であったタマちゃんは、
 けれども、
 2014年の春、
 体調を崩してしまいます。

 横尾さんの奥さまに看取られ、
 タマちゃんが旅立ったのは、
 2014年5月31日のことでした。

「たまちゃんッ!」
「がるぐぅる!」(←訳:タマちゃん!)

 ページを捲るたび、
 いえ、表紙のタマちゃんの画が
 視界を占めたそのときから、
 私たち読み手は、
 横尾さんの心情に取り込まれます。

 タマ、どこにいる?
 タマ、どこなんだい?

 タマ、帰っておいでよ。

「ごはんだよゥ~!」
「ぐるるがるる!」(←訳:寝床もあるよ!)

   ドアを開ければ、タマが。
   足元に、タマが。
   てのひらに、タマの体温が。

   夢の中に、タマが。

 声にして呼べば、
 いまにも帰ってきそうなタマちゃんの肖像を、
 横尾さんは描きます。
 この御本に掲載されているだけでも、
 91点のタマちゃん画。

「いまごろォはァ、もッとォ~!」
「がるるるぐる!」(←訳:増えてるかも!)

 絵にも、
 文章にも宿る、
 横尾さんの思い。

 ロス、などという言葉では到底足りない、
 もっと大きな、
 もっと尊い何か。

 横尾さんのその声を、祈りを、
 皆さまも、ぜひ。
  
  
 
 
コメント
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