テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 金の光の木馬たち ~

2020-09-18 22:43:14 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わァ~おッ! よんれんきゅうゥ?」
「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!秋の連休だよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい! 秋とは思えぬ残暑の中、
 連休がやって来ましたね♪
 ならば、本日の読書タイムは、
 休日に相応しいこちらの御本を、
 さあ、どうぞ~!

  


 
    ―― CAROUSEL EL DORADO ――



 著者は吉村和敏(よしむら・かずとし)さん、
 2020年2月に発行されました。
 『カルーセル エル ドラド』と日本語題名が付されています。

「あはァ! としまえんッ!」
「ぐるがるるるぐる!」(←訳:あの回転木馬だね!)

 先頃、閉園してしまった遊園地『としまえん』の、
 ”象徴”と言えるアトラクションといえば、
 この《カルーセル エル ドラド》でした。

 8月31日の、閉園の模様を伝えるニュース映像にも
 《カルーセルエルドラド》が写っていましたね。

「はなやかァでしたでス!」
「がるぐる!」(←訳:光の芸術!)

 著者・吉村さんは、
 《としまえん》閉園が決まってから
 《カルーセル エル ドラド》の写真を
 撮り始めたのではありません。

 もうずっと以前から、
 《としまえん》の正式な許可を得て、
 毎月のように足を運んではカメラを向けた、
 といいます。

「くるくるゥ~まわるゥ~!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:お馬さんと豚さん!)

 カラフルな馬具を着けた白馬たち、
 白馬の真似をしているかのように
 疾走する豚さんと、
 馬車風のソファーや長椅子。

 世にも美しい回転木馬《カルーセル エル ドラド》の生みの親は、
 “遊園地の王様“と呼ばれたドイツの機械工
 エヒューゴ・ハッセさん。

 1907年、
 ミュンヘンのオクトーバーフェストで初公開された
 《カルーセル エル ドラド》は、
 たちまち大評判となりました。

 3段の舞台がそれぞれ異なる速度で回転し、
 天井や柱に施されたアールヌーヴォー様式の装飾を
 あたたかく浮かび上がらせる照明……

「ゆめのォ、のりものォでスよゥ!」
「がるるぐるるるがるる!」(←訳:大人も子どもも大喜び!)

 製作者ハッセさんは
 カーニバル(移動遊園地)業者でもありましたから、
 ヨーロッパ各地で行われるカーニバルに
 回転木馬を巡業させましたが。

 大きな回転木馬に設置できるスペースを確保する難しさ、
 厳寒の冬期にはカーニバルが運営困難であること、
 当時の政情不安などを考慮して。

「もくばをォ、あめりかにィ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:新大陸へ運ぼう!)

 1911年、木馬は大西洋を渡りました。
 
 翌年、ニューヨーク州コニーアイランドの
 スティーブルチェース遊園地に売却され、
 新たに《カルーセル エル ドラド》と名付けられて、
 1964年に遊園地が閉園するまで、
 大勢の人びとに愛されたのでした。

「それからァ、にほんッ!」
「がるぅ!」(←訳:来たぁ!)

 1969年、
 《としまえん》に購入され、
 《カルーセル エル ドラド》は再び海を渡り、
 横浜港へと到着しました。

 あらためて日本で公開されるまでには
 たいへんな努力があった、と
 舞台裏が語られているのは、
 御本巻末の『カルーセルエルドラドの物語』。

 アメリカ製の電動機は、
 もう動かなくなっている……
 部品が壊れたり、失くなっている……
 木馬たちの塗装も剥げている……

「むううゥ~んッ!」
「ぐるるるる……!」(←訳:ボロボロだ……!)

 疲れ切り、
 傷だらけだった《カルーセル エル ドラド》を、
 日本の技術者さんたちは、
 そして遊園地の職員さんたちは、
 時間と情愛を注いで再生させました。

「むかしのォままッ!」
「がるるる!」(←訳:元気な姿!)

 今年、
 惜しまれながら
 2度目の眠りについた木馬たちが、
 いずれまた目覚めることを
 確信させられる写真集です。

 ただ、現在は版元品切れになっているらしく、
 入手困難のようですが、
 図書館には収蔵されている筈ですので、
 皆さま、ぜひ地元の図書館に
 リクエストをしてみてくださいね♪
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする