テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ カチンコとカット!の間 ~

2020-10-29 22:27:00 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 みッ、みつひでさァ~んッ!」
「がるる!ぐるるるる~!」(←訳:虎です!行かないで~!)

 こんにちは、ネーさです。
 昨日10月28日に最終回を迎えた
 NHK総合の『光秀のスマホ』……
 お見事でございました!!
 歴史マニア&大河ドラマファンの皆さま、
 YouTubeで全6話が公開されていますので、
 ご覧になってみてくださいね♪
 さあ、ここからは読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  

  
 
       ―― 空洞のなかみ ――



 著者は松重豊(まつしげ・ゆたか)さん、
 2020年10月に発行されました。
 ひょろっと細身のノッポな俳優さん、
 いえ、近年はラジオパーソナリティとしても大活躍の
 マルチな才人・松重さんが、
 小説家デビューですよ~!

「ええッ! ねこちゃんがッ??」
「ぐるるるる??」(←訳:神倉所長が??)

 ええ、そうよね、
 『きょうの猫村さん』の猫村ねこさんが、
 『アンナチュラル』のUDIラボ所長・神倉保夫さんが、
 『孤独のグルメ』の井之頭五郎さんが、
 作家さんになっちゃうなんて……!
 
 それはもう驚きましたが、
 まずは読んでみなくては!

「しょうせつゥとォ、えッせいィ!」
「がるるるぐる!」(←訳:不思議な構成!)

 御本の前半部分には
 『愚者譫言(ぐしゃのうわごと』
 と題された小説のパートです。

 スーツケースを引きずり、
 強まる雨足の中、
 ふっとぼんやりしているのは、
 語り手の《私》。

 太秦の撮影所でひと仕事して、
 東京に帰るつもりだったけれど、
 次回の撮影の都合がある、
 まだ帰らないでくれ、と告げられて……
 さて、どうしようか。

「むゥ! うずまさッ!」
「ぐるる!」(←訳:撮影所!)

 全国に名を知られる大スター、
 ではなく、
 知る人ぞ知る的な俳優である《私》は、
 旅をするかのように、
 ひとつの役柄から
 また別の役柄へと
 漂い流されてゆきます。

 その流れを、一瞬、切り裂くのは、
 カチンコの響きと、
 カット!の声……。

「これはァ、げんそうゥ??」
「がるるるぐる??」(←訳:それとも現実??)

 そして、御本の後半部分には
 エッセイ25編が収録されています。
 
 『演者戯言(えんじゃのざれごと)』
 と題された作品たちは、
 『サンデー毎日』に連載されたもので、
 蜷川幸雄さんの劇団のお話、
 アレルギーと闘うお話、
 《孤独のグルメ》シリーズの
 チーフ監督・溝口さんのお話などなど。

「ほわわァ~♪ これはァ!」
「ぐるるがるるーるるぐる!」(←訳:楽しいエピソードの連続!)

 小説+エッセイ、
 という不思議な構造は、
 言葉にしがたい読後感をもたらします。

 エッセイ部分を読み終えた後、
 もう一度、
 小説のパートを読み返したくなる。

 さらにもう一度、
 エッセイを読み返し、
 また小説に戻って……

 と、出口のない迷路に
 放り込まれたような?

「まことにィ、まかふしぎィ!」
「がるるるるるぅ!」(←訳:引き込まれるぅ!)

 書店さんでは、
 おそらくこの御本は
 タレント本のコーナーに
 配架されているかもしれませんが、
 いやいや、
 文芸のコーナーの、
 いちばん目立つところに
 ドン!と積み上げていただきたい作品です。

 ネコちゃんになったり、
 ラボの所長さんになったり、
 孤独に食べ歩き続けたりする松重さんの、
 新たな旅の成果を、
 活字マニアの皆さま、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 
コメント
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