テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 闇と光の時代 ~

2021-07-12 22:35:36 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おめでとうゥ、いたりあァ~!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!戴冠だあ!)

 こんにちは、ネーさです。
 祝優勝!
 ロンドン・ウェンブリースタジアムでの決勝で、
 EURO2020の頂点に立ったのはイタリア!
 いつか日本もW杯の場であんな風に……と
 夢見たりしながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
      ―― アンブレイカブル ――



 著者は柳広司(やなぎ・こうじ)さん、
 2021年1月に発行されました。
 『Unbreakable』と英語題名が付されています。

 『ジョーカー・ゲーム』
 『ダブル・ジョーカー』を中心とする
 《ジョーカーゲーム》シリーズで
  “スパイ・ミステリ“ジャンルの
 第一人者となった著者・柳さんによる――

「くんくんッ!
 うゥむゥ、におうゥのでスよゥ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:スパイの匂い!)

 ええ、そうなんです、
 この御本もまた、
 “スパイ・ミステリ”……いえ、
 “間諜ミステリ”と呼ぶべきでしょうか。

 収録されている
 
 『雲雀(ひばり)』
 『叛徒』
 『虐殺』
 『矜恃』

 という4作品の背景は、
 20世紀前半の日本です。

 つまり、そこは……
 《自由》のない世界。

「ぎすぎすゥしてまスゥ!」
「がるぅ~…」(←訳:窮屈ぅ~…)

 『雲雀』の始まりは、
 北海道は函館の、
 とある建物の、
 とある部屋から。

 もと漁夫であった
 谷勝巳(たに・かつみ)さんと
 萩原純彦(はぎわら・すみひこ)さん。

 そして、ふたりの前に座っているのは、
 ”プロレタリア文学の旗手“
 “気鋭の小説家”
 と評されている
 小林多喜二(こばやし・たきじ)さん。

 まるで銀行員のような風貌の、
 実際に拓殖銀行小樽支店の
 行員である小林さんは、
 谷さんと荻原さんに、
 取材をしている最中のようです。

 そのテーマは……
 蟹工船での生活。
 
「わおォ!わおおッ!」
「ぐるぅ!」

 そうよね、
 活字マニアさんでしたら、
 胸躍らせる場面よね。

 私たちはまさに
 20世紀日本文学の傑作とされる『蟹工船』を
 小林さんが執筆しようとしている、
 その現場に立ち会おうとしているのかしら♪と。

 けれども……?

「へんでスゥ!」
「がるるぐる!」(←訳:なにかヘン!)

 谷さんと萩原さん、
 どこか居心地が悪そうで、
 萩原さんは顔色もよくありません。

 実は、彼らふたりが
 小林さんの取材に応じたのは、
 或る事情があったため、でした。

 断りたくても断れぬ、
 その事情とは……。

「うむむゥ!」
「ぐるるるる!」(←訳:言えないよ!)

 ネタバレに直結してしまうので、
 これ以上は記せませんが、
 4つの作品に登場するのは、

 小説家の小林多喜二さん、
 反戦川柳作家の鶴彬(つる。あきら)さん、
 編集者の和田喜太郎(わだ・きたろう)さん、
 哲学者の三木清(みき・きよし)さん。

 上記の4人には、
 共通点があります。

 軍や警察から監視されている、
 という共通点が。

「ぎんこういんさんがッ?」
「がるるるるる?」(←訳:哲学者さんが?)

 ただの銀行員ではなかった。
 ただの川柳作家でも、
 ただの編集者でも、
 ただの哲学者でもなかった。

 時代に呑み込まれようとしている、
 無残にも滅せられようとしている彼らの、
 しかし、
 決して無にはされない、
 『敗れざる者たち(アンブレイカブル)』の
 深い痕跡。

「いまこそォ、よむべきィ?」
「ぐるがるるる!」(←訳:断然読むべき!)

 《ジョーカー・ゲーム》ファンの方々はもちろん、
 近代史好きな活字マニアさんにも
 激おすすめの一冊です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
コメント
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