テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 電気羊の子どもたち ~

2021-07-22 23:20:01 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 こんどこそォ、れんきゅうゥ~!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!海の日だよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 祝日は月曜日、だと思っていたら、
 今日が海の日で祝日になっていたんですね。
 これがオトナの事情ってものなのね~と、
 ちょっとばかり溜め息しながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
     ―― クララとお日さま ――



 著者はカズオ・イシグロさん、2021年3月に発行されました。
 英語原題は『Klara and the Sun』、
 ノーベル賞受賞後第一作にして、
 6年ぶりとなる新作長編作品です。

 既にたくさんの書評が公開されているので、
 御存知の方々も多いことでしょうが……

 主人公のクララさんは、
 人間じゃありません。

「ろぼっとォ、でスねッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:AI搭載の!)

 人工的な《知能》《知力》を組み込まれ、
 この世に誕生した存在……

 有名な作品では、
 『2001年宇宙の旅』のHAL9000、
 『ブレードランナー』のレプリカントや
 その原作である『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』、
 A・アシモフさんのロボット連作などが
 思い浮かびます。

 日本では、言うまでもなく、
 手塚治虫さんの『鉄腕アトム』。
 それに『ドラえもん』も、
 AI搭載ロボットの親戚、
 と申せましょうか。

 “彼ら“に比べて、
 クララさんは、
 “素朴“に見えます、が……?

「むむゥ! そぼくゥじゃないィのはァ~…」
「がる?」(←訳:周囲?)

 素朴で、健気で、
 おひさまのようにあたたかなこころ。

 主人公・クララさんのその素朴さは、
 彼女を取り巻く人びととは
 対照的です。

 思惑、願望、計算。

 いや、むしろ人間にとってはこちらの方が
 自然なのでしょうか。

 常に何かしらの打算を
 腹に抱えている方が、
 普通のこと、なのでしょうか。

 そんな《人間の世界》で、
 クララさんは“生きて“ゆけるのか――

「むずかしィかもッ?」
「ぐるがるる!」(←訳:難し過ぎる!)

 ひとのしあわせと、
 人工知能のしあわせ。

 そのふたつは、
 同じものなのか、
 まったく異なるものなのか。

 お店の棚から、
 外の世界へ。
 人間の家庭へと辿り着いたクララさんが
 見仰ぐものとは。

 言葉のひとつひとつまで
 著者・イシグロさんの
 こまやかな神経が行き届いた
 新たな《ロボットのものがたり》を、
 夏休みの読書タイムに、
 皆さま、ぜひ♪
 
  
 
コメント
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