テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 遠く、北極の空へ ~

2021-07-05 23:38:16 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぱりィ~!!」
「がるる!ぐる!!」(←訳:虎です!パリ!!)

 こんにちは、ネーさです。
 7月4日放送の『青天を衝け』第21回では、
 主人公・渋沢栄一さんはパリへ!
 いいな~私たちも行きたいわよね~パリへ♪
 と羨望を募らせつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!

  


 
     ―― 北極探検隊の謎を追って ――



 著者はベア・ウースマさん、
 原著は2013年に、日本語版は2021年4月に発行されました。
 原題は『Expeditionen』、
 『人類で初めて気球で北極点を目指した探検隊は
  なぜ生還できなかったのか』
 と日本語副題が付されています。

「ききゅうゥでェ、ほッきょくゥ?」
「ぐっるる!」(←訳:すっごい!)

 北極点到達――

 19世紀、
 多くの冒険家たちが
 まるで何かに取り憑かれたかのように
 北極への探検行に乗り出しました。

 或る者は、
 ヨーロッパとアジアを結ぶ北西航路を
 発見するために。

 また或る者は、
 北極点に自国の旗を立てるために。

 スウェーデンの
 サロモン・アウグスト・アンドレ―さんも、
 そんな冒険家さんのひとり。

 アンドレ―さんが率いる探検隊は、
 気球での北極横断に挑むべく、
 1897年7月、
 ダンスク島から飛び立ちました。

「でもォ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:直後にトラブル!)

 そう、出発直後から、
 探検隊はトラブルに見舞われたのです。

 気球に取り付けた
 誘導索の大半を失い、
 高度の制御が不可能に。

 湿気のせいで
 重さが増した気球は、
 徐々に下降し始め。

 気球の縫い目の微細な穴から、
 水素ガスが漏れ出して……。

「ついらくゥするゥ~…!」
「ぐるる!」(←訳:うわあ!)

 《エルネン(鷹)》と名付けられた気球は、
 出発点から480キロの位置に
 不時着してしまいました。

 仕方なく、
 気球に積み込んでいた橇(そり)を使い、
 陸地に辿り着くための
 難行に取り組みます。

「あッ! あれにィ、みゆるゥはァ~!」 
「がるる!」(←訳:島だ!)

 1897年10月5日。
 クヴィド島、という島に
 探検隊は上陸しました。

 季節はもう秋を過ぎ、
 この島で越冬するしかない……としても、
 荷物に不足はありません。

 食糧? あります。

 水? 充分な量があります。

 防寒着? 
 セーターもジャケットもブーツも毛布も、
 寝袋もテントも、あります。

 ついでに言えば、
 お薬も、猟銃も弾丸も、あるんです。

「なのにィ~…?」
「ぐるがる?」(←訳:なぜ遭難?)

 装備は充分だったのに。
 食糧も衣服も足りていたのに。

 探検隊の消息が途絶えて33年後――1930年。

 偶然、
 クヴィド島に探検隊の痕跡が発見され、
 大騒ぎになりました。
 
 島には探検隊員3名の遺体が残っており、
 ここが遭難の地だったのかと、
 人々を慨嘆させたのですが……

 最後まで分からなかったのは、
 3人の死因です。

「うむむゥ?」
「がる~?」

 なぜ、どうして。

 著者・ウースマさんは
 15年の月日をかけて、
 博物館の展示品や資料、
 遺品にあった日記、
 遺族の方々の記憶、
 あらゆる記録にあたり、
 探検隊遭難の謎を追いかけました。

 ウースマさんが到達した
 その答えとは……?

「りきさくゥ、なのでス!」
「ぐるがる!」(←訳:快作です!)

 2021年BEST BOOKの候補として、
 ノンフィクション好きな活字マニアさんに、
 近代史好きな方々にも
 おすすめしたい一冊です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいな~♪
 
 
コメント
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