テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 時代の波と、知力の澪 ~

2021-07-01 23:48:03 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぶるぶるゥ! さむいィ~!」
「がるる!ぐる~!」(←訳:虎です!長袖~!)

 こんにちは、ネーさです。
 7月の始まりは、
 半袖ではちょっぴり寒めの気温となりました。
 薄手のカーディガンなど羽織ったら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
       ―― 蝶として死す ――



 著者は羽生飛鳥(はにゅう・あすか)さん、
 2021年4月に発行されました。
 『平家物語推理抄』と副題が付されています。

「へいけェものがたりィ~??」
「ぐるるるる~?」(←訳:祇園精舎の~?)

 『平家物語』といえば、
 ええ、そうですね、
 祇園精舎の鐘の声~…という、
 荘厳にして流麗なオープニングが
 脳裏を過ぎります。

 そんな“有名すぎる“『平家物語』には、
 或る特徴があるんですけど、
 テディちゃ、虎くん、
 わかる?

「ふァ? とくちょうゥ??」
「がるるる?」(←訳:何だろう?)

 それはね、
 人間関係の複雑さ、です。

 平家のボス、清盛さん。

 当時の日本に於いて、
 政治のトップに立ち、
 経済力でもおそらく朝廷をしのぐ財力を
 有していた清盛さん。

 清盛さんの下、
 平家一門は我が世の春を謳歌……したかというと。

 意外にも、
 一族は一枚岩ではなかった、みたいで。

「ぶんれつゥ?」
「ぐるる?」(←訳:仲違い?)

 この物語の“主役“というべき
 平頼盛(たいらのよりもり)さんは、
 清盛さんの異母弟にあたります。

 そのせいか、
 兄・清盛さんとの間柄は
 なんとなくギクシャク……

 参議の官職に在った頼盛さんが、
 突然その職務を取り上げられてしまい、
 朝廷に出仕できなくなったのも、
 清盛さんの差し金だとか。

「それはァ、きついィ~!」
「がるるるぐるるる!」(←訳:関係修復しないと!)

 兄との関係を良好なものにして、
 なおかつ、
 自分は平家にとって必要な人材であると
 証明する。

 そのために、
 頼盛さんが使うのは
 《武力》ではなく《知力》。

 まずは、
 清盛さんの命令で作られた
 六波羅探題(ろくはらたんだい)に所属する
 禿髪(かむろ)の一人が
 不審死した事件を、
 《知力》で解き明かそうとする
 『禿髪殺し』から
 幕開けです。

「さがそうゥ、もくげきしゃッ!」
「ぐるがる!」(←訳:動機もね!)

 強大無比な兄の力に、
 頼盛さんの《知力》は
 どこまで対抗し得るのか?

 ミステリ作品ですので、
 ネタバレ禁止のためにも
 これ以上のお喋りは許されませんが、
 歴史好きな方々にとっても、
 ミステリ好きな活字マニアさんにとっても
 珍しい時代設定の物語は
 おすすめですよ。

「りきさくゥぞろいィ!」
「がるる!」(←訳:粒揃い!)

 5つの短編から成る連作ミステリの中で、
 平家の未来が激変してゆく中で、
 はたして、頼盛さんの命運は?

 きらきらと輝く
 極上の粒が揃った歴史ミステリ、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする