テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 聞いて、語って、視て…の百物語 ~

2021-07-26 22:26:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ひゅゥ~どろろんッ!」
「がるる!ぐるるるる~る!」(←訳:虎です!どろろろろ~ん!)

 こんにちは、ネーさです。
 日本の夏の風物詩といえば、
 オリンピック!……だけじゃなくて、
 ああ、そうです、
 怪談!!ですね。
 本日の読書タイムは、
 保証書付きの↓こ~んな《怖いお話》を、
 さあ、どうぞ~♪

  



     ―― 魂手形(たまてがた) ――



 著者は宮部みゆきさん、2021年3月に発行されました。
 《三島屋変調百物語》シリーズの第7作目となります。

 お江戸は神田にあります袋物屋の
 三島屋(みしまや)さん。

 袋物(ふくろもの)とは、
 現代でいうなら可愛いポーチや
 小さめサイズのトートバッグのことで、
 その分野では江戸でBEST3に入ると評判なのが
 三島屋さんです。

 つい先頃までは、
 べっぴんさんのお嬢さんが、
 三島屋さんの奥座敷で
 “百物語をしている”
 “怖い話を集めている”
 との噂でしたが……

「めでたくもォ~」
「ぐるるる!」(←訳:嫁御寮に!)

 嬉しいことに、
 皆から愛され、親しまれていた
 おちかさんは、
 他家へ嫁いでしまって、
 百物語の聞き手は、
 三島屋さんの次男坊
 富次郎(とみじろう)さんが
 引き継ぐ次第となりました。

 おちかさんから
 富次郎さんへ、
 このバトンタッチに
 私たち読み手も
 ようやく慣れ……慣れ……
 う~ん、
 なんか慣れないのよねえ、まだ。

「おちかおねえェちゃんッ、だいすきィ~でしたでス!」
「がるぐるる!」(←訳:今も大好き!)

 聞き手が誰なのか。

 そんなの大したことじゃないさ、とは言えません。
 聞き手の顔色が、気合いが、
 ときとして話の流れを逆転させもする、
 意味を深めもする。

 聞き手としての経験浅い富次郎さんのもとへは、
 “怖い話”の方が
 寄り付こうとしないんでしょうか。

「いやいやッ! きましたァでスよゥ!」
「ぐるる!」(←訳:3つも!)

 この御本に収録されているのは、
 『火焔太鼓』
 『一途の念』
 『魂手形』
 の3作品です。

 特に『魂手形』は、
 中編というに相応しい頁数の
 快作ですよ。

「いなせなァ、おじいィちゃんッ!」
「がるぐるがるる!」(←訳:顔も声もシブい!)

 或る日、三島屋さんにやって来たのは、
 髪も眉も白くて、
 けれど声音も立ち居振る舞いも
 しゃっきりとしたご老人。

  ―― 粋な爺さまじゃないか ――

 と、富次郎さんは感心します。
 とても百物語の語り手には、
 背中に闇を背負っているようには
 見えないのですが。

 吉富(きっとみ)と名乗った当のご老人は、
 飄々と語り始めます。

 十五歳の、夏の頃。
 彼の身に、家に、
 起こった出来事を……。

「くくくッ、くわばらッ!」
「ぐるるるぅっ!」(←訳:えんがちょっ!)

 ネタバレ回避のため、
 これから先はお喋りできませんけれども、
 ゾッとしたり、
 ニヤリとしたり、
 またゾゾッとしたりの
 “怖い話”は、
 夏の宵にぴったりですよ。

 怪談ファンの方々におすすめの
 《三島屋変調百物語》シリーズ最新作、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
コメント
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