「こんにちわッ、テディちゃでス!
のんびりィゆこうッ、いえやすさんッ!」
「がるる!ぐるがるる~!」(←訳:虎です!先は長いぞ~!)
こんにちは、ネーさです。
大河ドラマ『どうする家康』第2回では、
おお、徳川家臣団が揃い始めましたね。
オトコマエな榊原康政さんにエールを送りつつ、
さあ、本日の読書タイムでは、
↓こちらの“お江戸”な一冊を、どうぞ~♪
―― 大江戸あにまる ――
著者は山本幸久(やまもと・ゆきひさ)さん、
2022年9月に発行されました。
コミカルな表紙画の文庫オリジナル作品は、
家康さんが開いた江戸……といっても、
文政(ぶんせい)七年(1824)の江戸が舞台です。
「わひゃァ! おすなおすなのォ、だいこんざつゥ!」
「ぐるるがる~!」(←訳:賑やかだな~!)
19世紀の江戸は、世界に冠たる大都市でした。
その大都市の、最も華やかで、
人出も多いのが、
両国広小路(りょうごくひろこうじ)。
江戸で興行といったら、
まず挙げられるのが、ここ――広小路。
珍しいもの、面白いもの、
この世にふたつとありゃしませんぜと興行師が言い立てる
“見世物”目当てに、
大観衆が集まってくる町なのでした。
そして現在、
大ヒットとなっている見世物が……
ラクダ。
「ほんものォ、なのでス!」
「がっるる~!」(←訳:でっかい~!)
阿蘭陀(オランダ)人によって持ち込まれたラクダは、
長崎出島→九州→大阪→京都→南紀→木曽路と
日本の各地を巡回して、
ようやく江戸の町に到着しました。
大好評大反響の『駱駝(ラクダ)』の見世物は、
お武家さんのお客も少なくなくて。
「じッくりィ、みたァ~いィ!」
「ぐるるる!」(←訳:最前列で!)
木暮幸之進(こぐれ・こうのしん)さんは、
最前列でラクダを観ようと、
人垣をかき分けて進みます。
おっと、お連れさまの存在を忘れちゃいけません。
幸之進さんと手をつないでいるのは、
身なり良さげな少年――
石樽藩十一代目当主・綾部智成(あやべ・ともなり)さんの次男、
喜平丸(きへいまる)くん。
つまり、幸之進さんは、
お殿さまの息子さんの
お守り役のような存在なんですね。
「なるほどォ、それでッ」
「がるぐるるる♪」(←訳:目がキラキラ♪)
動物好きな若さまと、
お守り役の若侍さん。
このふたりに絡むのが、
貧乏な石樽(いしたる)藩のお武家さんや、
お江戸の博物学マニアさん、
それから――
「たッ、たいへんッ!」
「ぐるるるぅ!」(←訳:逃げたぞぉ!)
飼い主さんのもとから逃げ出した豆鹿?
あれはカッパか……いや、ワニ?
子豚ちゃんや、ヒツジにオオカミも?
で、この厄介な珍獣さんたちの
捕獲や世話を命じられるのは、
なぜかいつも幸之進さんです。
豆鹿なんて、
話に聞いたことすらない動物を、
ううむ、どうやって見つけて捕まえればいいんだ?
江戸はけっこう広いんだが?
「どんまいィ!」
「がるぐる!」(←訳:猪突猛進!)
お江戸の町に花ひらく、
ヒトと動物たちのものがたり。
大笑いしたり、
ほろりと貰い涙したりの楽しい時代小説は、
新年の読書タイムにおすすめですよ。
大河ドラマ『青天を衝け』ファンの方々も、
幕末の江戸を思い浮かべながら、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪