「こんにちわッ、テディちゃでス!
むむッ! うごかないィ~ッ!」
「がるる!ぐる~!」(←訳:虎です!窓が~!)
こんにちは、ネーさです。
今朝は昨日より一段と冷え込んだ東京・多摩地域は、
窓が凍りついて開かない!
結露が氷の粒に!
戸外ではバケツの水が完全な氷塊に!
という具合でした……
ああもう早う温かくなっておくれと溜め息しながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 怪盗ロータス奇譚 ――
著者は三木笙子(みき・しょうこ)さん、
2022年11月に発行されました。
『グランドホテルの黄金消失』と副題が付されています。
人気の《帝都探偵絵図》シリーズから生まれた
スピンオフ作品集ですよ。
「むかしィ~むかしィ!」
「ぐるがる?がるぐる?」(←訳:明治かな?大正かな?)
それは、東京が帝都と呼ばれていた頃のこと。
人びとが頻りと噂しておりましたのは、
《怪盗ロータス》
という、大泥棒の仕事ぶりでございました。
なぁんて、ちょっと江戸川乱歩さん風に
お喋りしたくなってしまうのは、
怪盗などという
絶滅危惧種さんが主人公になっているためでしょうか。
「むふふゥ! かいとうのォ、しょうたいはァ~…」
「がるぐるる!」(←訳:この二人組!)
もとは東京地方裁判所検事局の検事であった
安西省吾(あんざい・しょうご)さん、
幼馴染みの蓮(れん)さんに勧誘され、
“転職”してしまったのが、
《怪盗ロータス》の片腕、でした。
検事から今は泥棒か、
と自分で自分に呆れる省吾さんの胸中とは反対に、
《怪盗ロータス》の名は、いえ、悪名は、
欧州を中心に高まってゆく一方ですけれども……。
「たまにはァ、きこくゥ!」
「ぐるるがるるるぐるるる!」(←訳:故国で美味しいゴハンを!)
美味しい新米をパクつくため、
かどうか分かりませんが、
蓮さんと省吾さんは久しぶりに帰国し、
日本初のグランドホテルである
帝国ホテルに滞在しておりました。
富裕な客が集う帝国ホテルでは、
今宵も夜会が行われようとしています。
お招きを受けた二人も
大広間へ向かおうとしていたそこへ――
「どんがらァがッしゃんッ!」
「がるーる!」(←訳:ヒヒーン!)
ホテルの玄関前に現れたのは、
暴走する馬車。
玄関に激突する寸前、
馬車はかろうじて止まり、
ああ、よかった、
と居合わせた人々が安堵したのも束の間でした。
翌朝になって判明したのは、
馬車からホテルの地下室へ運び入れた金塊が
きれいさっぱり消えちゃった……?!?
「あはァ! きんかいィ!」
「ぐーるる!」(←訳:ゴールド!)
ホテルの役員さんが頼ったのは、
警察ではなく、蓮さんでした。
《怪盗ロータス》どころか、
海外で大成功したマジシャンと思われている彼に
金塊消失の謎を解いてもらおう!
と考えたんですねえ。
「むふふゥ! こォ~んなァとりッくゥ!」
「がぅるるる!」(←訳:チョロいぜ!)
古き佳き《泥棒だけど探偵も》スタイルは、
モーリス・ルブランさんの
《アルセーヌ・ルパン》シリーズを
彷彿とさせます。
はたして、金塊はどこに?
短編5作品から成る連作ミステリは、
《帝都探偵絵図》未読の方々にも愉しめますよ。
せかせかせず、
どこかのんびりムードのミステリを、
エンタ好きな活字マニアさんは
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪