「こんにちわッ、テディちゃでス!
こッ、これはァ~…おおものッ!」
「がるる!ぐるるるるがる~!」(←訳:虎です!飛びきりの大物~!)
こんにちは、ネーさです。
はい! 本日の読書タイムは、
とびっきり楽しい大物さんをご紹介いたしますよ。
さあ、読書アンテナの感度をMAXにして、
こちらのコミック作品を、どうぞ~♪
―― 神作家 紫式部のありえない日々 1 ――
著者はD・キッサンさん、2022年5月に発行されました。
題名を一読した時点で、はあ?と
ドン引きする活字マニアさんもおられましょうが、
いえいえ、慌ててはいけません。
これはまさに”目から鱗が落ちる“快作ですよ。
「こみかるゥだけどォ~」
「ぐるるるがるぐぅるる!」(←訳:コミカルだけじゃない!)
主人公は、はい、もちろん、
私たちが《紫式部》として知っている
あの女性――
いや、それとも。
私たち日本人が日本史や古典の授業で教わった
《紫式部》さんとは別人なのでしょうか。
結婚してわずか2年で
愛する夫はこの世を去ってしまい、
涙に暮れつつも
ひとり娘を育てている《彼女》の趣味は
物語を書くこと。
↑これをイマ風に言い換えますと、
34歳、未亡人のシングルマザー、
趣味、いえ、生き甲斐は、同人活動。
「どうじんッかつどうゥ……!」
「がるるるぐるるる……!」(←訳:同人誌の作家さん……!)
夫を喪った悲痛から《彼女》が立ち直れそうなのは、
同人活動に打ち込んだことの成果でした。
物語を読むのは楽しい!
物語を書くのも楽しかった!
どんな装丁にしようかと紙を選んで、
冊子に仕立てて、
それを読んだ友人たちから誉めてもらって。
ああ、楽しい!
……ところが、そこに。
「おてがみィでスよゥ~」
「ぐるがるる!」(←訳:宮中からの!)
彼女が作った同人誌、
その名も――
『源氏物語』。
いつのまにやら宮中で評判になり、
その評判が左大臣・藤原道長さんを動かしたのでした。
同人誌『源氏物語』の作者を、宮中に!
彼女を中宮・彰子(しょうし)さまの
家庭教師に!
「ほわわわァ~…」
「がるぐるぅ!」(←訳:呆然自失ぅ!)
自宅でひっそり同人活動をしてゆくつもりだった《彼女》は、
さて、どうする?
権力者・道長さんの命令は断れない。
もしも断ったら、父や弟の将来が……!
それに、宮中には同人活動をするために必要な
”紙”がある……!
「そこッ、だいじィでス!」
「ぐるがるるぐるる!」(←訳:紙は貴重品なんだ!)
かくして、宮仕えをすることになった彼女は、
名前をいただきました。
藤式部(とうしきぶ)。
「むむむむッ!」
「がるぅ!」(←訳:来たぁ!)
藤式部となった《彼女》は向かいます。
宮中という、とんでもなく複雑怪奇な魔窟へ……
いや~とにかくもう、
式部さんを同人作家さんに見立てたこと、
『源氏物語』を同人誌になぞらえたことが
圧倒的に素晴らしい!
そして、物語を創作することの喜びと涙、
同人活動の哲学、心意気をも語り、
日々実践する式部さん……!
「おうえんしまァ~ス!」
「ぐるるるがぅるっ!」(←訳:式部さんファイっ!)
古典の世界がぐぐ~っと近くなる、
まことに稀有なコミック作品は、
いま学校の授業で勉強中の学生さんに
激おすすめですよ。
もちろん、全活字マニアさんも、
ぜひぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
(2巻が既に刊行されていますので、
近日中にご紹介する予定です。
おたのしみに~)