テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ その掌に《鍵》を。 ~

2023-04-20 22:07:17 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ……なつゥ、でスかッ?」

「がるる!ぐるぅがるる~!」(←訳:虎です!夏じゃないよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日は《穀雨》だというのに、アイスクリームやフラペチーノの季節が

 早くも来てしまったようですね(悲しい……)。

 冷たい紅茶など用意しながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 真夜中の密室 ――

 

 

 著者はジェフリー・ディーヴァーさん、

 原著は2021年に、日本語版は2022年9月に発行されました。

 英語原題は『THE MIDNIGHT LOCK』、

 《リンカーン・ライム》シリーズの第15作です。

 

「まッてましたでスよゥ、らいむさんッ!」

「ぐるる~!」(←訳:祝再会~!)

 

 他の作品も良いけれど、

 作家ディーヴァーさんの代表作はやっぱり、

 ニューヨーク在住の敏腕鑑識捜査官

 リンカーン・ライムさんを主人公にしたシリーズ、でしょう。

 

 事故によって

 車椅子生活を余儀なくされているとはいえ、

 超人的な知性を武器に犯罪者を

 追い詰めてゆく物語は、

 世界中のミステリマニアを魅了していますよね。

 

「こんかいはァ~…むむむッ?」

「がるるぐる!」(←訳:新たな敵が!)

 

 冒頭のシーンは、

 とあるアパートメントの“朝の情景“です。

 

 これが、なかなかの……

 ぞわり、ひやり、と

 体感温度が低下してゆくような恐怖体験で。

 

「とりはだァ、なのでス!」

「ぐるるがるる……!」(←訳:本当に怖いよ……!)

 

 人気のインフルエンサーである

 アナベル・タリーズさんは目を覚ますなり考えます。

 

   ふだんの朝と、何かが違っている。

 

 注意深く部屋を見渡してみれば、

 履物の位置が、違う。

 服を置いた場所も、いつもと違う。

 枕元に携帯電話は……ない?

 床には皿があって、

 食べたおぼえのないクッキーが……

 

 誰かが侵入した?

 いや、侵入した!

 

「うわあああァ~んッ!」

「がるるる!!」(←訳:逃げよう!!)

 

 室内には、

 アナベルさんを震え上がらせるものが、もうひとつ。

 

 それは、

 『解錠師(ロックスミス)』

 と名乗る者の“署名“でした。

 

 何種類もの開けられない鍵を、

 軽々と解錠して、侵入する――

 

 この不可解で不気味な事件の捜査は

 当然のようにリンカーン・ライムさんのもとへ持ち込まれますが、

 目下、ライムさんのチームは大混乱中……!

 

 ライムさんが証人となった裁判での

 不穏な雲行き。

 NY市警内部の政争。

 さまざまな面倒事が同時進行して、

 捜査チームの上に襲いかかってきます。

 

「まるでェ、めいろッ?」

「ぐるるがる~?」(←訳:出口はどこ~?)

 

 百戦錬磨のライムさんを

 迷路の出口に待っているのは、

 《解錠師》の罠なのか、

 それとも……?

 

 ディーヴァーさんの本領発揮&ハズレなし!な長編作品は、

 ミステリ好きな活字マニアさんに、

 サスペンス好きな方々にも

 おすすめですよ。

 GWの読書タイムに、ぜひ~♪

 

 

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~ 中善寺先生、冴えてます! ~

2023-04-19 22:03:15 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 しゅうまつはァ~きんだいちィさんッ!」

「がるる!ぐるるるがるぅ!」(←訳:虎です!犬神家が来るぅ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今週末の4月22日に夜9時からBSプレミアムで放送されるのは、

 『犬神家の一族』(前編)!

 29日には後編も!と、もうワクワクするばかりです♪

 そこで本日の読書タイムは、

 『犬神家』と時代を同じくするこちらの作品を、

 さあ、どうぞ~!

  

 

 

      ―― 中禅寺先生物怪講義録 07 ――

 

 

 漫画は志水アキ(しみず・あき)さん、

 Founderは京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、

 2023年4月に発行されました。

 『中禅寺先生が謎を解いてしまうから。』と副題が付されています。

 

「しょうせつもォ、まんがァもォ~」

「ぐるがる!」(←訳:人気です!)

 

 それは、拝み屋”京極堂“こと

 中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ・あきひこ)さんが

 古書店を開く前のこと。

 

 第二次世界大戦後の日本で、

 高校の臨時講師をしていた日々の

 ちょっと怖~いお話……。

 

「むむゥ! まだァ、おわッてないィのでス!」

「がるるぐる~!」(←訳:世相は暗め~!)

 

 戦争はとうに終わった……はず、ですけれども。

 

 南方で、大陸で、軍務に就いていた人々が、

 やっとの思いで帰国して、

 涙ながらに故郷の土を踏んだ……という出来事も、

 まだまだ珍しくない時代。

 

 そう、信州の大財閥・犬神家の遺産相続騒動が、

 東京でも評判になっていた頃でしょうか。

 

「たいへんッたいへんッ!」

「ぐるるるぅ!」(←訳:強奪犯だぁ!)

「どろぼォ~ッ!」

 

 都立美戸川高校の2年生、

 この物語では中禅寺先生のワトソン役として活躍中の

 日下部栞奈(くさかべ・かんな)さんが

 偶然にも遭遇したのは。

 

 『浄火党(じょうかとう)』と名乗る集団の

 現金強奪現場……?!?

 

「まッ、まてェ~ッ!」

「がる!」(←訳:速い!)

 

  “火を以て世の穢れを浄める“

  “我ら浄火党なり“

 

 と言い立て、

 現金を奪っては燃やす集団に関する通報が

 警察官の木場修太朗(きば・しゅうたろう)さんのもとへ

 寄せられました。

 

 そして事件は、

 交番の木場さんを訪ねてきた栞奈さんの

 目と鼻の先で起こります。

 

 赤い頭巾と外套の男が、

 商工会館の一室で行われていた

 不動産売買の商談の場から、

 取引の金を奪い、逃走……!

 

「おいかけようッ!」

「ぐっるるがっるる!」(←訳:あっちへ行ったぞ!)

 

 被害者の資産家に依頼され、

 事件を解決すべく乗り出したのは、

 中禅寺先生でした。

 

 ウチは警察相談の受け皿じゃありませんよ、

 と言いつつも、

 事件のあらましを聞いただけで

 中禅寺先生の脳裏には

 早くも仮説が……?

 

「さすがはァ、せんせいィ!」

「がるぐる!」(←訳:速攻解決!)

 

 戦争の痛手は未だ回復せず、

 不安定な世の中をいっそう揺るがせる犯罪を、

 のちの“京極堂“――中禅寺さんは、

 どう見据えるのか。

 

 浄火党にまつわる事件の他にも

 短編2作品が収録されていて、

 そちらもおすすめです♪

 巻末には

 『おまけマンガ 関口くん粘菌を語る』

 も載っていますので、

 シリーズファンの方々は、

 関口さんの微笑ましいエピソードを読み逃しなく~!

 

 

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~ その日、目にしたものは。 ~

2023-04-18 22:11:12 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あッちもォ、こッちもォ~!」

「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!予約録画追加!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 4月期の新ドラマの放送が次々と始まって、

 あれもこれもと録画設定に忙しい毎日ですね。

 今期のアタリはどれかなぁ?とTV番組表を眺めつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 戦場のピアニスト ――

 

 

 著者はロナルド・ハーウッドさん、

 原著は2002年に、画像の日本語版は2003年2月に発行されました。

 英語原題は『THE PIANIST』、

 映画『戦場のピアニスト』の原作……というよりも、

 脚本、に近い作品です。

 

「ネーさッ、はまッてまスゥ!」

「ぐるるがるぐるる!」(←訳:なぜかあの映画に!)

 

 ええ、なぜか『戦場のピアニスト』にハマってしまって、

 先日は、

 『《戦場のピアニスト》を救ったドイツ国防軍将校:ヴィルム・ホーゼンフェルト』

 をご紹介いたしました。

 

 では原作も読んでみようかな、と手に取ったのが

 この『THE PIANIST』なのですが、

 前述しましたように、

 “原作小説”ではありません。

 

 表紙を開いて、

 冒頭から80ページまでは、

 映画に関する解説(プロダクションノート)、写真などが収録されています。

 そして、

 81~242ページに脚本、

 巻末には

 映画の脚本を手掛け、この『THE PIANIST』の著者である

 ハーウッドさんへのインタビューもあって、全体に

  ”映画『戦場のピアニスト』を知るための一冊“

 という印象です。

 

 ところが。

 おそらく、この御本の中で最もショッキングな、

 読み手の心を抉るパートは、

 脚本の部分でも、

 ハーウッドさんへのインタビューでもありません。

 

 39ページの、プロダクション・ノートの文章、

 『ポランスキー自身の体験が生きた場面』、

 これが途方もなく重い……。

 

「びッくりィしましたでスゥ!」

「がるるぐっるる??」(←訳:実体験だったの??)

 

 映画の中で、

 主人公シュピルマンさんが

 収容所へ送られる家族からひとり引き離されるシーンは、

 監督ポランスキーさんが実際に体験したものだった――

 

 あの場面は、少年時代のポランスキーさんが、

 ポーランドの古都クラクフのゲットーを脱出した際に

 ドイツ兵に見つかったときの経験が

 もとになっている、

 というのです。

 

「えいがァなのにィ~」

「ぐるがぅるるぅる!」(←訳:ノンフィクション!)

 

 監督のポランスキーさんもまた、

 シュピルマンさんと同じくユダヤ人であり

 戦争当時のポーランドに住んでいたのでした。

 

 ワルシャワやクラクフ、

 占領下にある他の多くの都市でも、

 寸分たがわぬ悲劇が起きていたのだと、

 私たちは改めて思い知らされます。

 

「たとえェいきのびてもォ~…」

「がるるるぐるるるるる……」苦しみは消えないんだ……

 

 死地へ――

 収容所へ連れ去られていった数万数十万数百万の人びとが、

 その日、目にした現実。

 

 戦争の狂気と、

 狂気がもたらした惨たらしい傷痕の記録は、

 息が苦しくなるほどです。

 けれど、これが記憶のまま過ぎゆき、

 決して繰り返されることのないようにと祈りながら、

 どうか皆さま、

 ぜひ、一読を。

 

 

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~ 布と、糸と、ひとの暮らし ~

2023-04-17 22:05:13 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 わわわゥ! ひょうゥ~ッ??」

「がるる!ぐる~!」(←訳:虎です!退避~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 お天気不安定な関東エリアですが、

 黄色い山吹のお花やモッコウバラが見頃ですね。

 そろそろバラも咲き始めるかな?と目で探しつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 織物の世界史 ――

 

 

 著者はソフィ・タンハウザーさん、

 原著は2022年に、画像の日本語版は2022年12月に発行されました。

 英語題名は『WORN : A People's History of Clothing』、

 『人類はどのように紡ぎ、織り、纏(まと)ってきたのか』

 と日本語副題が付されています。

 

 前回記事でご紹介したのは『バレエの世界史』でしたが、

 今回は、同じ“世界史“ものでも、

 『織物の世界史』。

 

 表紙を彩るヴェラスケスさんの傑作『アラクネの寓話』に導かれ、

 いざ、本文へと進んでみれば。

 

「むゥ? りねんッ?」

「ぐるるるぅ?」(←訳:麻ですかぁ?)

 

 『リネン』

 『綿』

 『絹』

 『合成繊維』

 『羊毛』

 

 と、5つのパートから構成されていて、

 いちばん初めは『リネン』になっています。

 

 ええ、そうなんです。

 もしも《人類の友》と言える布地があるとしたら、

 それは『綿』でも『絹』でもなく、

 『リネン(麻)』であると申せましょうか。

 

 綿花を栽培して収穫し、

 『綿』を作り上げる技術や製法が整ったのは、

 日本では江戸時代中期以降。

 世界的にも、

 『綿』の大量生産が可能になるのは、

 産業革命が到来してからのこと。

 

 『絹』はといえば、

 古代ローマの時代からその存在が知られていましたが、

 製造法は長く秘匿されていましたし、

 そもそも安易に大量生産できるような品物ではありません。

 

 けれど、『リネン』は。

 

「ぐんぐんッそだつゥ!」

「がるるぐいる!」(←訳:収穫も容易!)

 

 植物の、亜麻(あま)を原料とする『リネン』。

 

 紀元前7000年頃のトルコの遺跡内で

 リネン片が発見された、といいますから、

 人類と『リネン』のお付き合いは

 少なくとも9000年超、になりますね。

 

 そして、布地だけではなく。

 

 糸、も人類にとって非常に重要なアイテムでした。

 

 糸のおかげで、

 ヒトは網(あみ)をこしらえ、

 罠をしつらえ、

 縄紐を縒(よ)って、

 釣り糸を作り、

 道具と道具をつないだり、が出来る。

 獲物を捕獲したり、食べものを集めるためにも、

 糸は欠かせないもの、だったのです。

 

 衣服だって、

 布を糸で縫い合わせたもの、ですしね。

 

「めだたないィけどォ~」

「ぐるるがるる!」(←訳:VIPなんだ!)

 

 『リネン』から出発する

 人類と織物の歴史を追いながら、

 著者・タンハウザーさんは

 合成繊維という新素材、

 紡績技術のいっそうの進展も見逃していません。

 

 米国でカジュアルウェアとなったデニム、

 その“先端地“が日本へと移り、

 藍染の美しさも加えられて、

 タンハウザーさんとお友達が

 日本製の藍染ジーンズにうっとりする場面には

 デニム愛好家さんは嬉しくなっちゃうんじゃないかしら。

 

「じゃぱんぶるゥ~!」

「がるるぐるるるる!」(←訳:きれいなんだよね!)

 

 織物の、過去と、未来。

 

 ヒトと布は今後どう変容してゆくのかをも思索する力作は、

 歴史好きな活字マニアさんに激おすすめですよ。

 巻末の、訳者・鳥飼まことさんによる

 『訳者あとがき』も含めて、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ 今日も、明日も、幕は上がる ~

2023-04-16 22:08:36 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はッくしょッ! ぐずぐずゥ~!」

「がるる!ぐるるがるるっ!」(←訳:虎です!ぐすんぐすんっ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 スギやヒノキ花粉のピークは過ぎたはず、なのに、

 なぜか今朝からアレルギー反応が止まらず……?

 とりあえずお薬を飲んだ後は、

 さあ、気分一新の読書タイムですよ。

 本日は、こちらの新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― バレエの世界史 ――

 

 

 著者は海野敏(うんの・びん)さん、

 2023年3月に発行されました。

 『美を追求する舞踊の600年』と副題が付されています。

 

「えッ? ろッぴゃくゥ~??」

「ぐるるるがるる?」(←訳:そんなに長いの?)

 

 歴史の教科書に登場する《バレエ》の名シーン、

 と聞いて思い出されるのは、

 “太陽王“ルイ14世の肖像画ではないでしょうか。

 

 きらびやかに盛装した王さまは、

 タイツに包んだ脚を誇らしげに見せつけていて、

 これは明らかにバレエのポーズ?

 

 ええ、そうです、実際に

 ルイ14世は熱心なバレエダンサーではありましたが……

 

「もッとォ、むかしィ~でス!」

「がるるぐるるる!」(←訳:起源はイタリア!)

 

  《バレエの萌芽(ほうが)は、

   15世紀イタリアの都市貴族が楽しむ余興である》。

 

 選手宣誓にも比すべき、

 著者・海野さんの軽やかな一言から始まる第1章では、

 ルネサンス期のイタリアに

 舞踊芸術の誕生を見出しています。

 

 そして、王侯貴族主催の余興として

 舞踊がひろまってゆく中、

 或る芸術家さんも、

 舞踊の美術と演出を手掛けました。

 

 彼の名は、レオナルド・ダ・ヴィンチさん。

 

「わァ~おッ!」

「ぐるがるる!」(←訳:あの巨匠が!)

 

 フランス王フランソワ一世の庇護のもと、

 晩年をフランスのアンボワーズ城で過ごしたレオナルドさん。

 

 イタリアからフランスへ居を移した彼の後を追うように、

 貴族たちの舞踏は、

 フランス宮廷の祝典の余興へ、

 そして《バレエ》へと、

 姿を変えてゆきました。

 

「ふわりィ、くるりィとォ~」

「がーるぅるぐっる!」(←訳:バージョンアップ!)

 

 儀式の舞踊から、

 劇場の芸術へ。

 さらに、オペラと一体化しての舞踊から、

 舞踊のみで構成する芸術へ。

 幽玄なロマンティック・バレエが流行して

 ……あの男がやって来た!

 

「もうひとりのォ、まえすとろッ!」

「ぐぅるるるるがる!」(←訳:ディアギレフさん!)

 

 御本の後半、

 技術を磨き上げたロシアのバレエと、

 セルゲイ・ディアギレフさん率いるバレエ団、

 綺羅星のような伝説のダンさーさんたちを活写する章は、

 バレエ好きな方々にとって

 まさしく胸熱!

 

 私ネーさも前のめりになって読み耽りましたが、

 さて……21世紀のバレエは、

 いったいどうなってゆくのか?

 

「よりィ、うつくしくゥ!」

「がるぐるるる!」(←訳:より高らかに!)

 

 バレエ(クラシック・バレエ)のみならず

 コンテンポラリー他の

 舞台芸術好きな方々はもちろん、

 中世~近代~現代の欧州美術史好きな方々にも

 おすすめの一冊ですよ。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

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~ 祝! 栃木に新美術館誕生 ~

2023-04-15 22:07:15 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うれしいィ~おしらせェでスよゥ~!」

「がるる!ぐるる~!」(←訳:虎です!祝開館~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日4月15日にめでたくも開館を迎えるのは、

 栃木県栃木市の、栃木市立美術館!

 そこで本日は読書タイムをお休みして、

 ↓こちらの展覧会情報を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 明日につなぐ物語 ――

 

 

 栃木県栃木市の栃木市立美術館(Tochigi City Art Museun)にて、

 会期は2023年4月15日~6月18日(月曜休館)、

 開館記念展となる特別展です。

 

「あたらしいィ~びじゅつかんッ!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:ワクワクするね!)

  

 記念すべきオープニング展で紹介されるは、

 栃木が生んだ9組の美術作家さんたち――

 

 江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿(きたがわ・うたまろ)さん。

 

 幕末~明治初期の写真技術黎明期に活躍した

 島 霞谷(しま・かこく)さん・隆(りゅう)さんご夫妻。

 

 明治~昭和に洋画と日本画の両方で制作した

 橋本邦助(はしもと・ほうすけ)さん

 (くにすけ、と読む場合もあるようです)。

 

 竹工芸の名門 飯塚(いいづか)一門の作家さん。

 

 米国と欧州で市民の暮らしを描いた清水登之(しみず・とし)さん。

 

 孤高の日本画家・田中一村(たなか・いっそん)さん。

 

 日本の豊かな風景を旅し、描いた刑部人(おさかべ・じん)さん。

 

 市井の人びとを版画や彫刻で表現した鈴木賢二(すずき・けんじ)さん。

 

 そして、

 現在活躍中の漫画家・雲田はるこ(くもた・はるこ)さん。

  

「わほゥ! いッそんさんッ!」

「がるぐるがっるるる!」(←訳:栃木出身だったんだ!)

  

 特に、雲田はるこさんの作品については、

 栃木をテーマにした『昭和元禄落語心中』描きおろしイラストを含む

 モノクロ・カラー原画など50点の展示と、

 描きおろしイラストの制作過程の動画も公開、と

 内容大充実の出展です

 (会期中に原画の展示替えが予定されているのでご注意ください)。

 

「もよりのォ、えきィはァ~」

「ぐるる!」(←訳:栃木駅!)

 

 美術館へは、

 栃木駅(JR両毛線、東武日光線)で下車し、

 駅北口から徒歩で約20分の道のりです。

 近隣には栃木市立文学館や

 市民ギャラリー、観光会館などもあるそうですよ。

 

 栃木へお出掛け予定の方々は、

 ぜひ、美術館にも足を延ばしてみてくださいね~♪

 

 

 

   では、ここで週末のオマケ画像も、しゃらら~ん!

   

   お久しぶりの、グミハンター出動!

   今回ゲットいたしましたのはLoFtさんで見つけた

   ↓『低糖質グミ マスカット』と、

   

   ↓『リプトン ピーチティー イン グミ』!

   

   「どちらもォ、ぱくぱくゥ!」

   「がるるるぐるるるる!」(←訳:たちまち食べ尽くし!)

   美味しいグミ菓子に頬を弛めて、

   皆さま、どうか穏やかな休日を♪

   

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~ ピアノの音は 荒野に~

2023-04-14 22:05:15 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 よそうがいにィ~つらいィでスゥ!」

「がるる!ぐるるるがるぅ~!」(←訳:虎です!チクチクするぅ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 黄砂の被害がけっこうキツくて、

 ますます目薬なしにはいられなくなりました。

 点眼をして充血が治まったら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

   ―― 『戦場のピアニスト』を救ったドイツ国防軍将校 ――

 

 

 著者はヘルマン・フィンケさん、

 原著は2015年に、画像の日本語版は2019年7月に発行されました。

 独語原題は『ICH SEHE JMMER DEN MENSCHEN VOR MIR』、

 『ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯』と日本語副題が付されています。

 

 先日ご紹介しました『映画になった恐怖の実話』は、

 現実に起こった犯罪事件ばかりを収録した作品でした。

 ヒトの世の業を見せつけられるような

 暗いエピソードが続く中、

 荒野に射す一筋の光とも思えたのが……

 

「ぴあにすとォ……!」

「ぐるがるるぐる!」(←訳:彼に救いの手が!)

 

 ポーランド人のピアニスト、

 ウワディスワフ・シュピルマンさんの半生は、

 映画『戦場のピアニスト』によって

 広く知られるようになりました。

 

 この御本では、映画の終盤に登場し、

 シュピルマンさんを救ったドイツ人将校――

 ヴィルム・ホーゼンフェルトさんの生涯が、

 書簡、日記、当時の写真資料などから

 読み解かれてゆきます。

 

 そう、ピアニストのシュピルマンさんが実在の人物であったように、

 ホーゼンフェルトさんもまた、

 映画のために作られた架空のキャラクターではなく、

 実在の人物、だったのですが。

 

 ホーゼンフェルトさんの生涯は、

 映画の中で描かれた以上に過酷なものでした。

 

「げきせんちィ、なのでスゥ~…!」

「がるるぐるがる……!」(←訳:ロシアとの激闘……!)

 

 ポーランドは、不幸なことに、

 第二次世界大戦に於ける激戦地の一つとなりました。

 

 ほぼ廃墟と化した都市ワルシャワを

 国防軍将校の軍服に身を包み、

 部下が運転する車を悠然と走らせながら、

 ホーゼンフェルトさんが想ったのは。

 

 戦争の、むごさ。

 

「ひそかにィ、しずかにィ~…」

「ぐるるがるるる!」(←訳:始めていました!)

 

 自身が管轄する工場から

 迫害と暴力を排除し、

 助けを求めるポーランド人に通行証を与え、

 追われて地下室に隠れていた者を市街へ逃がし、

 食糧を与える。

 

 シュピルマンさんは、

 そうして”救われた者“のうちの一人にしか過ぎなかったのでした。

 

「でもォ、ちかづいてェきまスゥ!」

「がるる!」(←訳:敗戦が!)

 

 シュピルマンさんを救って程なく、

 ドイツ軍は撤退に取り掛かったものの間に合わず、

 ホーゼンフェルトさんはソヴィエトの捕虜となりました。

 

 かつてホーゼンフェルトさんに

 命を救われたポーランドの人びとは

 彼を救うべく運動するも、

 相手は、ソヴィエト――強権をふるう共産主義という、

 戦争に匹敵する怪物であったことがさらなる不幸でした。

 

 そしてシュピルマンさんは、

 誰が自分を助けてくれたのか、知らなかった――

 命の恩人の名前を、知らなかったのです。

 彼を救けたくても、手掛かりが、無い。

 恩人が救いを必要としていることも、分からない。

 

 ようやくホーゼンフェルトさんの名を知って後、

 シュピルマンさんは自伝を出版しました。

 そのときもまた、

 政治的な理由から

 ホーゼンフェルトさんの名前、

 ドイツ人であることを伏せるよう強制されたほど、

 “圧政“は続いていたのです。

 

「これがァ、せんそうゥ……!」

「ぐるる……」(←訳:泥沼だ……)

 

 かつては純粋なナチ讃美者だったホーゼンフェルトさんが、

 戦争の事実を知るにつれ、

 志を変え、思いを変え、行動を変え、

 辿り着いた場所。

 

 『戦場のピアニスト』ファンの方々には必読の

 “戦争の記録“です。

 戦火がおさまらぬ今だからこそ、

 どうか皆さま、ぜひ、一読を。

 

 

 

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~ 古典は、つねに新しく ~

2023-04-13 22:09:34 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ちゃァーじィ、かんりょうゥ!」

「がるる!ぐるるっるがるる~!」(←訳:虎です!張り切って読もう~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ブンブン飛び舞う黄砂や花粉もなんのその、

 前回のヤエザクラ見物で元気をたっぷりチャージしましたので、

 さあ、読書タイム復活!ですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 変容するシェイクスピア ――

 

 

 著者は廣野由美子(ひろの・ゆみこ)さん、

 桒山智成(くわやま・ともなり)さん、

 2023年2月に発行されました。

 『ラム姉弟から黒澤明まで』と副題が付されています。

 

「えんげきかいィのォ、おうさまッ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:偉大なる劇聖!)

 

 ウィリアム・シェイクスピアさん(1564~1616)。

 

 この御本でも、冒頭の『はじめに』の一行目に、

 《シェイクスピアほど後世に大きな影響を与えた作家はいない》

 とあるように、

 シェイクスピアさんの創作の数々は

 時間の波によって風化されることなく、

 世紀を超えて伝えられ、演じられ続けてきました。

 

 エリザベス朝と同じく、劇場の舞台で。

 児童文学に、映画に、翻案作品に。

 

 著者の廣野さんと桒山さんは、

 

 序章『小説の中のシェイクスピア』

 第1章『劇場の中のシェイクスピア』

 第2章『子供の世界のシェイクスピア』

 第3章『映画の中のシェイクスピア』

 

 の各章に分けて、

 《演劇》として世に出たシェイクスピア作品が

 いかに形を変えて広まっていったのかを

 分析してゆきます。

 

「たんていィしょうせつゥ?」

「がるるるぐる!」(←訳:児童文学にも!)

「はばひろォ~いッ!」

 

 著者・廣野さんが注目するのは、

 シェイクスピアさんの作品を児童文学と結び付けた

 姉メアリさんと弟チャールズの

 ラム姉弟による『シェイクスピア物語』。

 

 ラム姉弟の略伝をも兼ねた第2章の文章は、

 緊迫感がじわじわと高まる展開もあり、

 さながらドラマのようです……!

 

「どきどきィしまスゥ!」

「ぐぅるるるるるるるがるる!」(←訳:シェイクスピア愛の深さよ!)

 

 対照的に、

 第3章では不思議な躍動感が湧き出ます。

 

 20世紀の映画界の巨匠・黒澤明さんは、

 シェイクスピアさんの戯曲に、どう立ち向かったか――

 

 英語を母国語とする人々にとって、

 シェイクスピア作品は、やはり特別なもの。

 英語特融のリズム、言い回し、

 文学史に輝く《名台詞》を舞台上で語ることは

 最大の喜びです。

 

 しかし、

 魅惑の《名台詞》は、ときに“呪縛“にも変わり得るのだとも、

 ローレンス・オリヴィエ卿は、

 オーソン・ウェルズさんたちは知っていました。

 

 映画は結局、演劇を超えられないのか?

 演劇をなぞることしか出来ないのか?

 

「うむむむゥ~…めいさくのォ、おそろしさッ!」

「がるるっるぐるるるる~…」(←訳:映画化って難しいんだ~…)

 

 黒澤明さんも“呪縛“の存在を知っていたに違いありません。

 が、或るアドバンテージにも気付いていました。

 

 英語に、囚われない。

 名台詞に、惑わされない。

 作家シェイクスピア氏の生み出した物語は、

 ただ言語に頼るものではないはず、なのだから。

 

 ならば、非英語圏の映画監督である自分には、

 何が出来るのか――

 

「そのォこたえェがァ~」

「ぐるるる!」(←訳:蜘蛛巣城!)

 

 深く掘り下げる第2章、

 果敢に斬り込んでゆく第3章、

 ふたつの対比が素晴らしいシェイクスピア作品論は、

 映画好きさんに、

 歴史好きさんにもおすすめですよ。

 

 『乱』についても、

 黒澤さん以外の映画監督さんと

 シェイクスピア作品の影響に関しても

 じっくり論じて欲しい!と思わされる一冊です。

 黒澤さんのファンの方々は、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ 2023 ちょこっとヤエザクラ旅 (街路樹編) ~

2023-04-12 23:06:59 | 花雑記

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふァいッ! くつをォはいたらァ~」」

「がるる!ぐるるがるぐる!」(←訳:虎です!散歩へGOです!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ヤエザクラがちょうど満開!なので、

 読書の合間のひと休みに、ちょっとだけ花見物旅を、どうぞ~♪

  

 ↑こちらは、国道16号線沿いに植えられているヤエザクラで、

 『鬱金(うこん)』

 という品種でしょうか。

 

「ほんのりィ~みどりいろッ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:中心部は紅色!)

  

 てっきり『御衣黄』だと思っていたんですけれど、

 調べ直してみたら、『鬱金』のようです。

 上の画像は、今日の曇り空のもとで撮ったもので、

  

 晴天だと、↑こ~んな感じです。(昨日4月11日に撮影しました)

 

「あかるいィ!」

「がるぐるーるる!」(←訳:淡いグリーン色!) 

  

 そして、『鬱金』くんの隣りに植えられているのは、

 ↑『御衣黄(ぎょいこう)』です。

  

 こちらはもう、はっきりグリーン!

 晴れた日に陽光のもとで見ると、

 ↓アマガエルちゃんそっくりの緑色の花だと判りますよね。

 (こちらも4月11日に撮影したものです)。

  

「まだまだァ、ゆきまァ~ス!」

「ぐるがる~!」(←訳:歩け歩け~)

 

 国道16号線を南へ進み、

 JR中央線の踏切に近付いて行くと。

 

 道路の両側に、ピンク色が……?

  

 はい! ↓こちらは、ヤエザクラの並木道なんです。

  

 ↑上の画像の右側には、金剛院さんという御寺があり、

 ここから300メートル弱くらいでしょうか、

 ヤエザクラの並木が続いています。  

  

 道路の反対側に渡って、見上げてみると――

  

「もふもふゥ!」

「がるぐる!」(←訳:ポンポン!)

  

 華やかで美しく、

 ほわん、と丸いヤエザクラの花って……

 ああ、なんて美味しそうなんでしょう♪

 

「ふァ?」

「ぐるっ?」

  

 このお花を、ぷちぷちっと収穫して、

 お酒できれいに洗って、

 粗塩で漬け込んで――

 

「むりィでス!」

「がるるぐるるがるるる!」(←訳:それはプロに任せよう!)

  

 妄想にかられつつ、樹の幹を見上げると、

 ナンバープレートのようなものが付けられていました。

 これは、樹木の管理のための番号なのかな?

 ヤエザクラちゃんたちも

 ソメイヨシノちゃんたちも、

 どうか健やかに長~く花を咲かせてくれますように……。

 

「でもでもッ!」

「ぐるる!」(←訳:天敵が!)

 

 悲しいことに、黄砂の襲来が報じられています。

 花粉症&アレルギー体質の方々もそうでない方も、

 お花見の際は目や肌のガードをお忘れなく~!

 

 

 

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~ 橋を、守らば。 ~

2023-04-11 22:09:49 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 つつじィにィ、ぼたんッ!」

「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!藤の花も~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 初夏めいた気温のせいでしょうか、

 お花さんたちがパパパパーン!と咲き競っていますね。

 たっぷり目の保養をした後は、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 江戸のかほり ――

 

 

 著者は藤原緋沙子(ふじわら・ひさこ)さん、

 編者は菊地仁(きくち・めぐみ)さん、

 2022年12月に発行されました。

 『藤原緋沙子傑作選』と副題が付されています。

 

 2002年にデビューした著者・藤原さんは、

 2022年に作家生活20周年を迎えました。

 この御本は、

 

 《隅田川御用帳》

 《橋廻り同心・平七郎控》

 《藍染袴お匙帖》

 《浄瑠璃長屋春秋記》

 

 という、藤原さん著作の人気のシリーズから

 短編1篇ずつを選んで構成したアンソロジー作品です。

 

「おえどォ、でスねェ~」

「ぐるがるるる!」(←訳:町のざわめき!)

 

 縁切り寺の御用宿を舞台とする《隅田川御用帳》、

 お江戸では珍しい女性の医師さんが主人公の《藍染袴お匙帖》、

 行方不明の妻を探す浪人さんを主役とする《浄瑠璃長屋春秋記録》、

 とシリーズの特色がそれぞれに異なる中で、

 私ネーさが感心させられたのは、

 

 《橋廻り同心・平七郎控》シリーズ。

 

「えどのォまちをォ~まもりまス!」

「がるぐる!」(←訳:特に橋を!)

 

 江戸の町を守る同心さん、といえば、

 十手をかざし、盗人たちと闘って捕まえて、と

 治安の維持が職務のお役人さんが有名ですが。

 

 立花平七郎(たちばな・へいしちろう)さんは、

 定橋掛(じょうはしがかり)、

 通称を橋廻り(はしまわり)という、

 木槌(きづち)を手にして

 江戸の町を見回るお役人さん、なのです。

 

 川にかかっている橋に、

 壊れたり、傷んだりしている箇所はないか。

 橋のたもとの広場を不法に使う者はいないか。

 川の整備に問題はないか。

 

 などなど、橋と川にかかわる案件を

 担当する要員な訳で。

 

「せきにんッじゅうだいィ~でスよゥ!」

「ぐるるるがるるぐるる!」(←訳:お江戸は水の都だもん!)

 

 21世紀の現代と違って、

 昔むかしの江戸の町は、

 天然の河川と大小の運河が縦横に走る水運の都。

 平七郎さんたちが管理している江戸の橋の数は、

 なんと、125にも上ります。

 

 まことに責任重大な、

 “町を守る“お仕事です、けれど、も……

 

 十手を持つ定町廻り(じょうまちまわり)を

 花形とするなら、

 橋廻りは閑職。

 バカにされやすいお役目、なんですよねえ。

 

「むむゥ~…くやしいィ~!」

「がるるる!」(←訳:ぷんすか!)

 

 今日もまた、平七郎さんたちは

 定町廻りの役人たちから

 ちょっとした嫌がらせを受けました。

 

 橋げたの下に浮かぶ木切れの間に、

 白い手が、ちらほら。

 ああ……これは。

 

「あわわわッ!」

「ぐるるるがる~…!」(←訳:南無阿弥陀仏~…!)

 

 いわゆる“土座衛門“を、引き上げて、

 番屋へ運んで検死をしたら、

 橋廻りは首を突っ込むな、と言われ。

 しかも、

 遺体の死因をろくに調べようとせず。

 

「むむゥ、それはァ~ひどいィ!」

「がっるるるるぐるるがる!」(←訳:怒っていいぞ平七郎さん!)

 

 怒る、というより、

 《謎》を放っておけない質の平七郎さんは

 密かに調へ始めます。

 哀れな遺体が橋の下に流れ着くまでに、

 いったい何が起こったのか――

 

 橋廻り、という役職から見えてくる、

 江戸の町を、安寧を守ろうと努めた多様な職と、人びと。

 

 新鮮な驚きをもたらしてくれる江戸のものがたり4選は、

 時代小説好きな方々に、

 歴史好きな活字マニアさんに、おすすめですよ。

 お堀や橋脚、

 忙しく川面を行き交う荷船を思い浮かべながら、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

  

 

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