◎レナードの朝(1990年 アメリカ 121分)
原題 Awakenings
監督 ペニー・マーシャル
◎1969年の夏の奇蹟
嗜眠性脳炎の患者にパーキンソン病向けの新薬L-ドーパを試したところ奇蹟な回復を見せたがやがて元通りになってしまったという1960年代の実話が元になっているらしんだけど、いったいどういうことから患者の一時的な回復が見られたんだろうね。
それについてはほとんど解明されていないみたいだし、映画で語られることもないから、ぼくたちは、人付き合いは下手だけれどもきわめて優しい医師ロビン・ウィリアムズの誠実な治療と、自分が元に戻っていくさまを撮れという犠牲的な患者ロバート・デ・ニーロの友情譚を見ていくしかない。
でも、きわめて清々しく撮られているのは、さすがペニー・マーシャルとしかいいようがない。もちろん、主役ふたりの演技もあるんだけど、そのほかの患者たちも実にうまい。アメリカはどういうわけか、ときどき、精神病棟をあつかった映画を撮るけど、そのとき患者たちを演じる役者はみんな上手だ。演技者の層がきわめて厚いんだろうね。