☆ネコのミヌース(2001年 オランダ 83分)
原題 Minoes
監督 フィンセント・バル
☆猫ファンタジーの傑作
あれ?なんで杉本哲太が出てるんだ?とおもったのはぼくだけだろうか?
それほどテオ・マーセンは哲太に似てる。
そんなことはどうでもいいんだけど、ほのぼのとした優しい世界の映画は気持ちのいらだっていないときに見るにかぎる。気ぜわしい中でそういうものを観ようとしてもなかなか入り込めないもので、もちろん、この作品もそういう世界のひとつだ。とにかく、猫たちの演技をつけるのには苦労しただろうけど、それをしてあまりある出来栄えだとおもうんだよね。
話は簡単で、なんだかよくわからないけどたぶん危険な薬品なんだろうっておもわれるドラム缶がトラックからこぼれ落ちてそれを猫が舐めてしまったためにとっても可愛いらしい緑色の服を着たミヌースになっちゃうって話だ。で、彼女カリス・ファン・ハウテンがやってきたのが独身でとっても優しい新聞記者テオ・マーセンの屋根裏部屋とくれば、もはや、なにもかもがわかっちゃうファンタジックな展開と結末になるんだけど、案の定、そうなった。結局、悪徳政治家の汚職と腐敗を白日のもとにさらすことで莫迦にされていた新聞記者はいちやく町を守った英雄ってことになって、猫に戻りたいとおもってたカリス・ファン・ハウテンもやっぱり観客の期待通り人間のままでいることを決め、タイトルロールで結婚式という、いやまあなんとも一点の期待の裏切りもない筋立てなんだよね。
でも、そんな筋立てはどうでもよくって、ひたすら、カリス・ファン・ハウテンの猫演技に魅了されていればいいんじゃないかって気になる。この映画はたぶんそういう彼女と猫たち、あるいは、テオ・マーセンをとりまく町の人々のあったかさをしみじみ眺められればそれでいいんだとおもう、たぶん。