◎猿の惑星:新世紀(2014年 アメリカ 130分)
原題 Dawn of the Planet of the Apes
監督 マット・リーヴス
◎エイプはエイプを殺さない
以前の『猿の惑星』のシリーズは、社会的な問題に対して映画なりの意見を主張してきた。
そうした姿勢は、この前作の『創世記ジェネシス』でも医薬という形で表現されてきた。もちろん、社会問題に触れられていないわけではなく、人間が猿インフルエンザによって急速かつ過激に減少していったのは、人間が作り出した文明があたかもバベルの塔であり、かつそれが滅んでゆきつつあるのは神の意思でもあるかのように表現されているのは、これまでの一連の『猿の惑星』の内包しているものとかわらない。
で、今回はどうだろう?
う~む、難しいところだ。映画としての出来はすこぶる良く、CGもきわめて高度なものになっている。いや、猿がここまで感情をあらわにできるまでに仕上がっているのかと、前作でもおもったが、今回もまた追体験した。
ただ、この主題はいったいなんだったんだろう?
猿と人間という対立する構図はある。たしかにあるんだけど、それは黒人と白人にも置き換えられるし、大民族と少数民族にも置き換えられる。おのおのの集団の中には、敵を理解し、かつ愛情をもって接することのできる者がいるし、そうではなくて陰謀によって双方の敵意をあおって激突させようとする者もいる。不幸なのは弱い立場の市民だが、そうした中には物事を客観的に見つめ判断することのできる知的な者たちもいる。そうした者たちがあれこれと入り乱れ、物語は進行し、やがて陰謀をたくらんだ悪人は否定されるものの、ふたつの集団はもはや止めることのできない戦争状態へ突入していかざるを得ないという構図は、きわめてありがちだ。いや、非常に定番の物語で、しかもそれが非常に大掛かりに見える作品だった。そうとしかいえない。
けど、3作目がきわめて楽しみではある。