◎あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(2013年 日本 99分)
監督 長井龍雪
◎めんまへの手紙
なんで、この物語にみんな感動して泣いちゃったのか?
という疑問にはいろんな解答があるだろうし、それを考える必要もあんまりないし、まあ、ぼくも泣いた。アニメで泣くのはひさしぶりのことで、この頃、心まで年を食ってしまったせいか、アニメ特有の台詞まわしや大仰な動作あるいは在るような無いような不思議な現実味などがどうにも食傷気味になってきてて、このシリーズを見ていたときも最初はそんな気分だった。
ところがどうだろう。回を追うに従って妙にのめり込んでいる自分のいることに気づいた。自分の少年時代や高校時代と照らし合わせて似ているのか、どうか記憶の中の日々をおもいださせるものがあるのかどうか、そんなことはほとんどないんだけど、どういうわけか涙がこぼれてた。
ぼくも困ったもんだわ、いつまでも。
けど、だ。
この劇場版については、たしかに新たなシークエンスはつけられているものの、どうしたところでテレビの再編集版の域を出ない。で、テレビ放映された前後篇からなる総集編とどちらに感情移入できるかといえば、尺が長い分、挿話のつながりがよく見え、明らかに総集編だ。となると、いったいこの作品はどうとらえればいいのか、ということになる。勝手なことをいえば、やっぱりエピローグの一部と考えるのがいちばんいい。あらたな感動話があるというのではなく、あくまでも本編の記憶を頼りにしている以上、エピローグとなる。ま、そんな分析はどうでもいいか。