△シャニダールの花(2012年 日本 104分)
監督 石井岳龍
△恐竜を絶滅させたのは花とかって
のっけからとんでもないナレーションが入って、これは…と直感したら、案の定、そうなった。
どうなったかというのはあえて書かない。少なくともそれが作品に対する礼儀というものだ。
ただまあ、この映画、劇場で予告編を観たとき、あれれ、もしかしたらおもしろいのかなとおもってしまった。そういうことからいえば、見事に予告編に釣られた。予告編に漂っていたなんとも浮遊感のある冷めた雰囲気は本編にも残ってて、主演のふたり、つまり綾野剛と黒木華は雰囲気にはもしかしたら合っていたのかもしれない。
けどまあ、なんていうんだろうね、シャニダール洞窟で発見されたネアンデルタール人の遺骸に花がついていたことから手向けられたのだろうと判断されて、現代人の70パーセントしか脳の容積がない原始人でも哀憐の心があったのだという証とされてきたものが、実はそうではなく花に寄生されたことで命を失った、つまり花に殺されたのだ、という発想だけは好い。
ぼくだったら、こういう脚本にはしないな~。
そもそもシャニダールの花について説明されるのが物語の後半で、しかもとても冷静とはおもえない悪役が怒鳴るように説明するのを見てるとなんだかな~とおもえてくるし、そもそも、こういう特異な設定の物語というのは、導入からもっと違った形があるんじゃないかって気がするんだよね。あ、いかん。礼儀を忘れてしまいそうだ。