☆マイライフ・アズ・ア・ドッグ(1985年 スウェーデン 102分)
原題 Mitt liv som hund
英題 My Life as a Dog
監督 ラッセ・ハルストレム
☆1950年代、スウェーデンの海辺の町と山間の村
「人工衛星に乗せられて死んでいったライカ犬より僕の人生の方がまだ幸せだ」
ということで、その「ぼく」を取り巻いているさまざまな人々の点描と、中でもいちばんは成長期を迎えてしまった少女との日々が淡々と慈愛深く描かれるわけだけれども、こうしたしみじみした映画は作れるようでなかなか作れない。でもまあ、あまりにもよく知られた物語をここで繰り返したところで仕方がない。
まあ、なんというのか、誰でも懐かしい少年の日々というのはあるもので、それがたとえ恵まれない境遇であっても真摯に生きていればなんらかの救いと癒しの手が差し伸べられると信じていたいし、たぶん、まちがいなくそうなるだろう。と、ぼくはおもう。
おもってみれば、ぼくの少年時代はどうだったんだろう?恵まれていたかどうかはよくわからないけど、たぶん、それなりに恵まれていたのかもしれない。でも、ぼくは身体が弱く、肺炎になったり、気管支喘息だったりして、都合3回、入院した。50メートル走っても息は苦しくなってくるし、小学校時代のあらかたは咳をして過ごしてた。まあ、寄る年波かこの頃でも息はすぐに苦しくなるんだけど、それはさておき、駈けっこだけは誰にも負けない自信があったのに走るとすぐに呼吸困難になるっていうのは、まあそれなりに辛いんだ。
ただ、ぼくの場合、スプートニク・ショックはなかったものの、アポロ11号のショックは凄かった。前にも書いたかもしれないんだけど、ぼくの実家のすぐ近くの四つ角に、夜になると串焼きの屋台が出た。そこに、よく、お皿を持ってドテを買いに往った。そのとき、酔っ払いがくだを巻いていた。アポロ11号のニュースがショックだったとみえて、あんなものは月になんかいってねえんだ、そこらで撮影したのを放送しとるんだと、まるで『カプリコン1』みたいな話をしてた。ぼくは屋台から外に出て、月をあおいだ。満月だった。その夜のことは忘れられない。
まあ、そんなようなことで、宇宙を見つめて何事かをおもう少年時代ってのは誰にでもある。
けど、アントン・グランセ リウスとメリンダ・キンナマンのような出会いは滅多にあるもんじゃない、よね?