桂歌丸さんが亡くなられた。日曜日の夕方のサラリーマンにとっては、翌日出勤という何か気分が悪くなる時間帯の中で、それを忘れさせてくれる人物であった。落語の面白さがわからないまま、この人を知ったが、大変な苦労人であり、努力を重ねて最後の最後まで、はっきりした口調で高座を作り上げた功績は、偉大なる落語家の一人になるのではないかと思っている。浜っ子、愛妻家、番組の中では常に敵を作りながら私的には敵はおらず誰からも愛される、病魔に負けずにお客様に喜んでもらうために、全てをささげた人であった。先日から、歌丸さんの本格的な落語を聞いている。話の場面に吸い込まれる状況とすぐ側に歌丸人物が座っているような不思議な雰囲気となる。もうそこは、歌丸さんに陶酔してしまっているのだと思った。これこそが、真の落語である。