池永永一さんのテンペストは首里城を舞台にした小説ですが、聞いたこともない琉球のお菓子が登場します(第3話)。
主人公の親友の真美那が得意とする「千寿米羔(せんじゅこう)」。
「一口サイズの円筒形の上面に三色スミレのような花弁が載せる、見るからに野花を摘んだような菓子の花籠」と、本では表現されています。
上の写真は、食文化専門家の安次富順子さんが往時の作り方で再現したものです。とてもかわいらしいお菓子ですね。
真美那は、隠し味として夏ミカンの皮を入れたのが好評で、那覇港に上陸したペリー提督や初恋の人、孫 寧温(そん ねいおん)をこのお菓子でもてなしています。
残念ながらどんな味だったか、忘れてしまいましたが、美味しかったと思います。
真美那が絶品だと主人公に勧めたもの。
胡麻あんを、ラードに小麦粉を混ぜた皮で包んだ揚げ菓子です。香りがあり、美味しかったことを覚えています。
脂っこいのは苦手と主人公が断ったら、代わりに勧められたのが蒸し菓子の「ちいるんこう」。
これは現在でも市販されていて、パウンドケーキのような味だったと思います。
こちらが、「薫餅(くんぺん)」。
美味しいお菓子ですが、主人公は王妃から賜った泥入りの薫餅を、こともなげに食べています。
これも市販されています。
琉球のお菓子というと、ちんすこう、花ぼうる、松風(まちかじ)、りとうへん等が有名ですが、テンペストには聞きなれないお菓子が出てきます。
縁があって、琉球のお菓子を再現した場に居合わせることができて幸運でした。
試食したい方は、首里城の南殿から書院に入ってすぐ右手に鎖之間(さすのま=琉球王子の部屋)で、300円で4種類の琉球お菓子とサンピン茶を美味しくいただけます。
静かな茶室でお茶菓子をいかがでしょうか。
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