沖縄での一人暮らし

延べ8年間、沖縄で一人暮らしをしました。歴史・自然・文化を伝えます。

1国2制度と筋肉痛

2020-08-23 | 生活
日本にも、1国2制度がある。
静岡の富士川を境に、制度が分かれているが、日常的には気づかない。

しかし、富士川をまたいで転居した時に、1国2制度は現実のものとなり、経済的負担と時には肉体的負担を伴う。

その後、日常生活で制度の存在を忘れる。過去に6回も富士川をまたいで転居して、交換部品も持っていたのに忘れていた。

沖縄で使っていた電子レンジは、まだ6年だし、東京で使おうと思った。実家の古いオーブンレンジを処分場に運び、沖縄レンジを設置して、ようやく事態に気づいた。

使えない。
60Hz専用のレンジは、東京では使えない。
パソコンや掃除機は使えるが、電子レンジは部品交換しないと危険らしい。

毎日使う家電ゆえに、近くの家電量販店に足を運び、早速調達した。

レジの担当の方の名札は、中国だった。
最近は中国人観光客がいないけど、日本で頑張っているんだ。

「色は、どちらにしますか?」
商品カードの下に、2種類選択肢があるが、50と60が書いてある。

「これは、色じゃなくて、周波数だと思うよ。」というと、店員さんは急いで在庫確認して、戻ってきた。
「60が一つも無いです。」
「60は、売ったらいけないです。」

持ち帰りを希望したら1000円値引きで、ラッキー。
「重いけど大丈夫ですか」とか、気遣ってくれたので、店員さんが梱包してくれている間に、50と60のことを教えてあげようと思った。

「日本は、東京と大阪で周波数が違うのです。明治時代に電力会社が導入した発電機がドイツ製とイギリス(アメリカ)製で、周波数が違ってたのが原因。」

「ダンボールに地図が描いてあるでしょ。こっちが50で、こっちが60。」

中国人の店員さんは、大変驚いたようだった。梱包終わったダンボール箱を渡しながら、言った。
「これは、試験に出ますね!」
「きっと出るね。勉強してね。」

と、その場をかっこよく去ったのだが、店を出てからが、大変だった。

今どき、両手で電子レンジの大きなダンボール箱を、難儀しながら抱えて歩く人も珍しい。14キロはゴルフバックなら楽勝だけど、ダンボール箱は持ちにくい。

「見るからに重そうだけど、この人どこまで運ぶのだろう」とか、「配達頼めばいいのに」とか、「今日中に持ち帰る理由があるのかな」とか、行き交う人や車中の人の思考がテレパシーで飛び込んでくる。

そういう思考会話を繰り返し、途中で休憩しながら、通常5分の道のりだが、数倍の時間を費やして、やっと自宅に電子レンジを設置した。

両腕は、枕さえ持てない筋肉痛になっていた。