沖縄での一人暮らし

延べ8年間、沖縄で一人暮らしをしました。歴史・自然・文化を伝えます。

マングース・トラップ

2010-03-11 | やんばる4村(国頭・今帰仁・大宜見・東)
やんばるの森の中で、赤い布を見つけたら、その近くにマングーストラップがある可能性が高い。
ジャワ・マングースは、100年前の1910年、東大教授となった渡瀬庄三郎によって、沖縄に持ち込まれた。
マングースは、沖縄で人々を苦しめていた猛毒の蛇ハブを駆除してくれる貴重な生き物と思われていたが、100年の間に沖縄の街中の至る所で繁殖し、沖縄の天然記念物ヤンバルクイナを窮地に追い込んでいる。
下図は沖縄北部のやんばる地方。赤い線はマングースを北上させないためフェンスが設置されている。

しかし、図を見る通り、マングースはフェンスを越えてやんばる地域に侵入している。
国や県が設置したマングース・トラップで捕獲されたマングースの数が、着色されている。
緑色の印は、左側が大宜味村の猪垣、右側は謝名城林道。
やんばるの自然豊かな森を横断する林道でも、年間10匹以上のマングースが捕獲されている。
「カゴわな」と呼ばれる生け捕りカゴ。赤い布は巡回するスタッフの目印だ。

こちらは、捕獲の効率化を目的に昨年から設置し始めた「筒わな」。マングースが筒の中にもぐると、補殺する仕組み。
大宜味村の猪垣にあったタイプだ。

検索すると、マングース防除事業(環境省)とあった。

渡瀬は、明治期に天然記念物保護法の制定に尽力した動物学者だが、自分が持ち込んだマングースが天然記念物を脅かしている現実は、断腸の思いに違いない。
狙いが外れた原因は、ハブが夜行性なのに対しマングースは昼に行動することや、野生生物が豊富な沖縄では、危険を冒してハブを捕食する必要がないこと、などが言われている。

100年後の人間が、先駆者を軽々しく批判すべきではないが、失敗から教訓にできることは、動物の生態や生息行動をよく調査して、できれば飼育して、どのような行動をするのか特性を明らかにしたうえで野に放つべきだろう。
未知の動物の特性を知る上で動物園や水族館の社会的役割は大きく、展示技術だけでなく、生態も解明してほしい。


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4 コメント

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なんとも・・・ (まりあん)
2010-03-11 14:47:30
天然記念物ヤンバルクイナ保護するためなんですね。
フェンスを乗り越えてまで・・・自然動物は、そうだと思いますね。
捕獲用のかごは仕方ないにせよ 自然には合わないし人にも危険みたいな感じですねー

動物の生態、行動などを知ることは重要なことだと思ってます。
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ありがとうございました (フーミン)
2010-03-11 21:05:18
今回、取り上げてくださった一連の沖縄の歴史・自然は、普段私たちの耳目に触れることが
極端に少ない事柄ですので、大変興味深く
読ませていただきました。ありがとうござ
いました。

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まりあんさんへ (forever-green)
2010-03-12 23:54:04
フェンスを飛び越えたのか、国道などフェンスのない場所から入り込んだのか、フェンスができる前から北上していたのか不明です。
越えてしまったマングースは、捕獲器で絶滅をさせる計画です。特定外来生物被害防止法という法律に基づいて、対策が行われています。

まりあんさんのように生き物を飼育されている方は、動物の考えや行動をよくわかってらっしゃてて感心します。
人になつかない動物の生態を観察するのは難しいですが、動物園や水族館には頑張ってほしいと思います。
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フーミンさんへ (forever-green)
2010-03-12 23:57:14
コメントをありがとうございました。
合いの手を入れていただいたので、とても書きやすかったです。
こういう話題は、blogの記事にしにくいものですから。
御礼をいただき、こちらこそ感謝しています。
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