終点の某住宅地までバス停3つくらいになった時、車内から「このバスはムニャムニャ…」「某住宅地行きだでムニャムニャ…」というようなお婆さん2人の会話が断片的に聞こえてきた。私は「ひょっとして乗り間違えたのか!?」と思った。
が、その後も会話が続いているようだったし、1人のお婆さんが「○○行きに乗ってムニャムニャ…」と説明しているようだったので、私は「よく知っているお婆さんが隣りに座っていて助かったぁ~!」と思った。
終点の1つ手前で“物知りのお婆さん”が降りて、もう1人のお婆さんは「ありがとうございます」と御礼を言っていたので、私は「○○行きが来るバス停の位置だけは教えてあげないといけないだろうな」と思った。
いよいよ次は終点… と、その時! お婆さんに先手を打たれてしまった。通路を歩いてきたお婆さんが「▲▲へ行くには、どうすればいい?」と言ったのである。「解決済みだ」と思っていた私の口からは、とりあえず「すいません、▲▲を走っていないので分からないんですよぉ…」と出た。
それでも、そのお婆さんは諦めずに「▲▲って、△△の近くなんだけどねぇ…」と言ったので、私は「先程のお客様が○○行きに乗ればいいっておっしゃってましたよねぇ… 乗り場は、あの道路を渡って左の方にありますけど…」と返答したのだが、「○○は随分と遠くない? ◆◆行きのバスが▲▲を通ると思うんだけどねぇ…」と言った。
終点の降車停にバスを着けながら、私が「◆◆行きならば、◎◎からも出て…」と言い始めると、お婆さんは「そうそう、◎◎へ行くにはどうすればいい?」と言った。そこで私が「すぐそこのバス停に◎◎行きが来ますので…」と言いながら時刻を調べている間も、お婆さんは「すぐそこ? どこ? バスはいつ来るの? 待たなきゃダメ? ねぇ、どうすればいい? etc.」と早口言葉のように喋り続けていた…
私は時刻表から◎◎行きバスが36分にあることを知り、「今、何分だ?」と時計を見たところ… なんと35分51秒、52秒、53秒… で、思わず「あっ! もうバス来ますよ! 早く早く!」と叫んだ。それに対して、お婆さんは「いや、走りたくないよ。転んで怪我したくないもんで… 横断歩道を渡らなきゃいけないでしょ?」と言いながら歩き出した。
「えっ!? 横断歩道? ○○行きのバス停と勘違いしている! ◎◎行きはすぐそこなのに!」と思った私は「バスを待機場所へ移動させている暇はない。それに… ここはそんなに頻繁に到着バスは来なかったような気がする」と決め付けて、お婆さんの後を追った。
が、私はお婆さんを追い抜いて… まずはバス停のベンチに座っているお婆さんに「これから一緒にお茶でも…」(違う違う!)「◎◎行きのバスはまだ来ていませんよねぇ?」と尋ねた。すると、お婆さんは「えぇ、いいですよ、お茶くらいなら…」(言わない言わない!)「えぇ、もうすぐ来ると思いますよ」と答えてくれた。
それから2分と経たないうちにバスが来て、2人のお婆さんが乗り込むのを、私は自分のバスから眺めていた… ふぅ… それにしてもよく喋るお婆さんで… 何だかこっちまでアタフタしてしまった。しかしまぁ、たまにはいい… 刺激にもなるし、ネタにもなるしね。ハハハ… お婆さん、ありがとうございました。