バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

良かれと思ってやったのに…

2012年11月14日 23時05分22秒 | バス運転士

朝8時半頃、某始発地点の発車時刻になったので、私は前扉を閉めた。そして、すぐ目の前を左右に通っている狭い道路を左へ出て行くのだが… 左方向は、すぐ先の交差点で道路が“くの字”になっていて見通しが悪く… 右方向は看板が邪魔で見辛く… 私は左右を交互に見ながら、ゆっくりと前進していた。

その時、視界に“何やら動くモノ”が入ってきた。目の焦点をそれに合わせると、右斜め前方の脇道から出てきて手を挙げている女性だった。私は「もうバスの前半分が道路に出てるし…」と思ったが、左の交差点の信号が赤になったところだったし、右からも何も来ていなかったので、そこで止まって扉を開けた。すると、その女性は「ありがとうございます~」と叫ぶように言いながらバスに飛び乗った。

私はすぐに扉を閉めて発車… 一つ目のバス停では10名ほどの乗車があった。二つ目のバス停へ向かう途中の赤信号で止まった時、先程の女性が車内後方からブツブツと独り言を呟きながら通路を歩いてきて車内中央付近の席に座った。と同時に降車ブザーが鳴った。

信号が青に変わり、私は次のバス停へ… その間にも、女性は小声で「しまった…」「まったくもう…」というような言葉を呟き続けていた。私がバスを止めて扉を開けると、女性は今来た道を走って戻って行った… あぁ、あそこで私が待たなければ… バス停2区間も余分に戻らなくて済んだのにねぇ…