バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

乗客の視線が…

2013年12月06日 18時27分57秒 | バス運転士

あるバス停で乗った女性が、一緒に乗った女性に「いくらだっけ?」と言いながら財布を開いた。運賃箱の画面に表示されている“大人200円”という文字は、少し慌てている彼女の目には入らないらしい。

その彼女は普段からおっちょこちょいなのか、財布から取り出されて運賃投入口へ入れられるはずだった二枚の百円玉… その内の一枚が運賃投入口の縁で跳ねて、運賃箱と運転席の間に置いてある“タイヤチェーンが入っている袋”の辺りに落ちてしまったのである。

彼女が「あっ…」と言いながら、落ちた百円玉を拾おうと運賃箱を乗り越えよう… という気持ちが見られたので、私は「あぁ、いいですよ。後で探しておきますから…」と答え、「終点の待機場所でゆっくりと探せばいい」と思っていた。滅多にないことではあるが、いつもそうしてきたから…

しかし、バスが走り出して間もなく… 何となく“助手席”の人の視線を感じたのである。私の方をジッと見ている視線を… しかも、それは若い女性などではなく、私と同類のオッサンの… 私は「何だか薄気味悪いなぁ~」と思った。

「なぜ、私を見ているのか?」と考えていた私の頭に「もしかして… このオッサン、私が落ちた百円玉をネコババするとでも思っているのだろうか?」という憶測が頭に浮かんだのだが… 「そうだとしても、私は私なんだから気にしないで終点まで行こう」と思った。

しかし、万が一! オッサンから先に「ネコババするつもりじゃないだろうな」と言われたら、いくら胸を張って「違います」と言ったところで… 「俺が言ったからやめたんだ」と思われるかも… それはそれで癪に障るので、私は信号待ちの間にチェーン袋をズリズリと手繰り寄せ… 次の信号待ちでゴソゴソと探して…

あった、あった、ありました! すぐに私は百円玉を拾って運賃投入口に「カラン!」と放り込み… 運賃箱が「プププ…」と“投入金不足”を表示… そこで私はボタンを押して「ピンポ~ン!」と精算完了… しかしまぁ、完全弊社の頃はココまで気を遣うことはなかったような… こんな発想をしてしまうようになったのは、半弊社の営業所で乗務するようになってからのような… こうして性格が歪んでゆく私…(それは元からだろう! 人のせいにするなぁ~)