終点の某駅に到着して、次の発車まで約20分の休憩時間があった。そこは待機場所のないロータリーなので、降車場所にバスを止めたまま休憩することにした。が、一人のおじさんが前扉の外へやって来たので、私は「何か聞きたいのかな?」と思って扉を開けた。すると「ここで乗ってもいい?」と言いながら乗ろうとしたので、「すいません、乗り場はあちらです」とお断りした。20分間も一緒にいたら、休憩どころか屁もこけないからねぇ…
某駅を出て5つ目のバス停で若い女性が乗ったのだが… なぜか“助手席”の横に立ったまま動かなかった。立つにしろ座るにしろ、後方にはまだまだ余裕があるにもかかわらず… 私は「助手席に座りたくて、その人が降りるのを待っているのかな?」と思った。が、バス停で止まるたびに乗客の邪魔になることに気付いて、ゆっくりと後方へ移動した。気付いてくれればそれでよし…
あるバス停で前扉を閉めて発車… と思ったら、左後方から接近するお婆さんを発見した。決して速くはないけれど早足に見えたので、私は再び前扉を開けた。すると、お婆さんは“急ぎながらゆっくりと”乗って来たのだが、手提げ袋の中をガサゴソとやり始め… 約1分後、やっと出てきたのはフリーパスだった。めでたくバスは発車して、お婆さんはすぐ次のバス停で降りて行った… 間違いなく、乗っていた時間よりも、ガサゴソやっていた時間の方が長かった。
その次のバス停は、車道の左側に専用スペースが取ってあるバス停だったのだが… なぜか、そのスペースのド真ん中には、自転車に跨ったままこちらを向いている男がいた。バスの接近に気付いても動く気配がなかったので、私は軽くクラクションを鳴らしたのだが… 完全に無視された。仕方がないので、その自転車を避けてバスを斜めに止めて乗降客扱いをした。まったく… なんなんだ! 薬物で捕まる芸能人が好きそうなサングラスなんか掛けて…
それにしても、片道わずか30分程度の路線で、こんなにも珍獣が集まったのは初めてだった… ん? これじゃあ4匹じゃないかって!? はいはい、皆さんから突っ込まれる前に、先手を打って5匹と書いておいたんですよ!(by運転席の珍獣)
夕方、営業所を出発して某駅へ向かっていた。あるバス停を通過しようかと思った時… バス停の前に立っているビルの玄関から、一人のおばさんが飛び出してきた。私がやや強めのブレーキでバス停に止まって扉を開けると、おばさんは乗ってきてカードを通した。
さて、私が扉を閉めて発車しようかと思った時… おばさんが出てきた玄関よりも、さらにバス停から離れた位置(もしもおばさんがいなかったら、私は自信を持って通過していた位置)に立っていた女の子4人がダラダラと歩いてきたのである。私が「まさか…」と思いつつ再び扉を開けると、なんだかんだ喋りながら乗ってきた。そして一人目の子が千円札を持って「おつりを…」と言ったので、私は千円札投入口を示しながら「ここへ入れて下さい」と言った。釣り銭は800円なり…
すると二人目の子が「子供なんですけどぉ~」と言ったのである。私は「先に言わんかぁ~!」と思ったけれど、「すいませんね」と言いながらマイ財布から100円玉を取り出した。そして、二人目も千円札を持っていたので、「このボタンを押してから入れて…」と教えてあげた。三人目と四人目は“子供用の土日切符”を購入した。
考えてみれば… 一人目の子は「おつりをもらわなきゃいけない」ことばかり考えていて、「子供です」と言うのを忘れてしまったのだろう。きっと私と同じで、一つのことを考えていると、他のことに頭が回らない単細… あ、失礼。それは私だけですね。ハハハ…
ちょうどお昼頃に出勤して点呼を受けた時に「今日はクリスマスイヴで、いつもより混雑すると思いますが~(後略)~」と上司から言われて、「あぁ、そうか!」とロマンスとは無縁な独身男の私は気が付いた。
今日は某路線を6往復する勤務だったのだが、最初の1本目でいきなり忘れ物があり… 大きな手提げ袋の中身は“松平秀明の唐揚げ”とデザートの材料だった。正にメリークリスマスな忘れ物である。
2本目の往路のバス停で誰か待っているかと思ったが、残念ながらそれらしき人物は見当たらなかった。仕方がないので、復路の発車前に“忘れ物のお札”へ記入して手提げ袋に付けた。そこで携帯電話の“着信あり”に気が付いたのだが、それは営業所からであった。
早速、営業所へ電話をしてみると、やはり「忘れ物を受け取りに○○停で待っているらしいから…」ということだった。そして、私は○○停で待っていたおばさんに手提げ袋を手渡したのだが… 付けておいた“お札”もそのままに… あぁ~、私の方が重症かも…
某駅を発車して、すぐに長い赤信号の連続攻撃に遭い… 約2分遅れで最初のバス停を通過しようとしたところ、左前方から歩道を走って来る母子を発見した。私がバスを止めて扉を開けると、母子は乗ってカバンをゴソゴソ… 財布を出して運賃を投入した。
さぁ、約3分遅れで発車… と思ったら、右前方から道路を斜め横断して来る母子を発見した。私が再び扉を開けると、母子は乗ってバッグをゴソゴソ… 財布を取り出してカードを通した。結局、最初のバス停を約4分遅れで発車した。
その後も、バス停で止まる度に「土日切符…」「土日切符…」「土日切符…」の波状攻撃に遭い、バスはどんどん遅れてしまった。しかし、そこで「回復運転をしてやる!」などと“変なヤル気”を出してはいけない(入社当時は全開バリバリ“ヤル気”を出していたけれど…)。私は「もう、好きにして!」気分で、ずっと終点まで「お待たせして~」「バス遅れまして~」をロボットのように繰り返すしかなかった。
乗客の中には「こんなに遅れやがって!」と思っている人もいるかもしれないが、バスは新幹線のように時間キッチリとは走れません。新幹線の車両には改札がないし、運転士も車内販売をやらないし… そもそも線路には“自家用電車”なんて走らないからね。ハハハ…
バスレーンくねくね路線を走っていた。途中の某ターミナルから一人のおばさんが乗って“助手席”に座った。私は扉を閉めてバスを発車… と思ったら、おばさんが「このバス、○○へ行きますよね?」と言ったのである。
奇襲攻撃に弱い私は「○○って何処にあったっけなぁ…」と考えながら、「少なくともバスレーンくねくね路線沿いにはなかったような…」と思い、「えぇ~っと… 行、か、な、い、と、思…」と答えていた時、乗客の一人が「△△駅!」と教えてくれたのである。
私はすぐに「△△駅だそうなので、2番乗り場です」と伝えて、再び扉を開けた。おばさんを降ろして発車して… どの人が教えてくれたのか分からなかったので、マイクを通して「すいません、ありがとうございました」と言った。
そして、次の☆☆停へ向かっている時、お婆さんたちの会話の一部が聞こえてきた。「急に言われたもんで、分からんかったんだわ」と… さすが“亀の甲より年の劫”と言うべきか、すべてお見通しでございます。☆☆停で数名のお婆さんが降りたのだが、その中の一人がとびっきりの笑顔であった… ホント、助かりました。