現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

蝶々さん

2010-05-28 22:15:48 | 虚無僧日記
5/28 Iさん宅で、音楽鑑賞会。
ニューヨーク・メトロポリタン・オペラの『マダマ・
バタフライ』を観る。過日 BSで放映されたものだ。

アメリカ版の「蝶々夫人」だが、これは2006年の上演なの
だが、日本の認識は100年前そのまま。
結婚斡旋人ゴローは“お内裏様”の冠をかぶり、田舎女の
カイマキを着ている。神主は中国兵、僧侶は有髪の“鐘き
様”だ。今でもアメリカ人は日本と中国と混同しているの
だろうか。これを見たアメリカ人は、日本の風俗はあんな
ものと思い込むのだろう。

ストーリーも国辱的だ。「999年の契約を結んだ。この国
(日本)は、(住宅も結婚も)いつでも解約することができる」
と言うピンカートンは、アメリカに婚約者がいながら、
純情な日本娘を騙して、妾にするのだ。沖縄の基地問題と
ダブる。

そもそも「マダム、バタフライ」の原作は、アメリカ人らしい。
1898年というから明治31年。日清戦争が終わった後。
それをイタリアのプッチーニが歌劇にして、1904年(明治37)
スカラ座で初演された。初演は不評でブーイングの連続だった
そうだ。

蝶々夫人は、夫ピンカートンを信じて待つ身の純情可憐な
日本女性だが、当時長崎には、駐留する外国高官の妻と
なった女性は結構いたらしい。しかし、みな“現地妻”と
割り切っていて、捨てられたことを恨み自殺した女性は
いなかったとのこと。つまりモデルはいない。“蝶々さん”
のような純真な日本女性は今も昔も居なかったのだ。