今日、地下鉄で二人の若者が、ドアの前に寝転がって 大声を
あげて、じゃんけんのようゲームに興じている。その声も
尋常でない。酔っぱらっているのか、ドアを蹴ったり、叩いたり。
名古屋駅で大半の客は降り、乗っているのは私のほか3人。
無視すべきか、注意すべきか。注意したところで聞く相手ではない。
怒鳴るべきか。「腹を立てず」の試される時がきた。
笑顔で二人の行動を見つめていると、気づいたか「そこのハゲェー、
そこのメガネ!」と怒鳴ってきた。手を挙げてこない限り、無視。
車掌に通報しようかと電車を降りたら、車掌のいないワンマン電車。
すぐドアが閉まり、走り去っていってしまった。
ホームでは「迷惑行為や不審な行為を見かけたら、近くの駅員に
お知らせください」と女性の声のアナウンスが空しく流れていた。
『論語』の一説に
「子曰く、礼に非ざれば視るなかれ、礼に非ざれば 聴くなかれ。
礼に非ざれば言うなかれ、礼に非ざれば動くなかれ」
「仁」というものは、己の恣(ほしい)ままに行動するのではなく、
やりたいこと、言いたいことを ぐっと抑えること。
そうした礼を失したふるまいに、怒りを顕わにしてはならない
という。視て見ぬ振りをしろと孔子はいう。
たしかに、そういう人たちには何を言っても無駄だ。
だからといって、黙って見過ごせない場合もある。
その時は、どう対処すべきか。少なくとも、感情的に
怒鳴ったり、手を挙げたりは、礼を失する行為。
非礼や暴力からは何も生まれない。手でさえぎり、
静かに諭すべきであると。
求められるのは、そうした時のコミュニケーション力。
そこが知りたい。