日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

意外な取り合わせだから、伝わるCM

2009-09-15 19:16:56 | マーケティング
先週末から始まったテレビCMの中に、とても素敵だな~と感じるモノがある。
それが富士フィルムのフォトブック・辻井伸行さん編だ。

ご存知のように、辻井さんはヴァン・クラインバーン国際ピアノコンクールで、優勝した、新進気鋭の盲目のピアニストだ。
ただ、辻井さんの優勝理由は盲目と言うハンディを加味されたモノではない。
辻井さん自身の計り知れない努力と才能によって、受賞したものであることには変わりない。

そして、このテレビCMが素敵だな~と感じた理由が、辻井さんが盲目であると言うコトだったのだ。
おそらく辻井さんは、子どもの頃からピアノのレッスンをしてくださった先生の姿はもちろん、自分自身の姿さえ見た事がないはずだ。
でも、写った写真一枚一枚には、その先生との大切な思い出などがあるはずなのだ。
例え、自分自身がその写真を見る事が出来なくても、その思い出となった時間やその時の空気間、そういったイロイロなモノ・コトを大切に持っていると、感じさせられるCMとなっているのだ。

写真は思い出の瞬間を切り取るだけではない、その時の空気間やこころの中にあるモノも大切に記録させるコトが出来る・・・。
そんなコトを、十二分に伝えているように感じるのだ。

それは盲目である辻井さんを起用する事で、より鮮明に受け手である生活者に伝わり、「フォトブック」と言う「写真集」の新しい提案となっているように感じる。
「旅の思い出写真集」と言うアプローチから始まった「フォトブック」だが、そこに「気持ち」と言うエッセンスが新しく加わったように思う。

何よりも、心優しく響く辻井さんの演奏が、その思い出を上手に引き出し、辻井さんが「盲目のピアニスト」であると言うことを忘れさせてしまうコトに成功している。
なかなか凝った仕掛けのCMだと思う。



何とか残して欲しい・・・明治屋栄ビル

2009-09-15 13:35:40 | 徒然
中日新聞のWEBサイトをチェックしていたら、明治屋栄ビル建て替えへ 業者購入、活用法を検討と言う記事があった。

最近では、栄よりも名古屋駅周辺のほうが話題になる事が多い名古屋だが、買い物などはやはり栄のほうが便利で、お店も多い。
そんな中に明治屋栄ビルがある。
記事中にあるように、とても古いビルで戦時中よく焼け残った!と言う気がするビルだ。

栄周辺には、このような戦前に建てられたビルが幾つかあったのだが、1990年以降どんどん取り壊されていった。
個人的に残念だったのは、東海銀行(現三菱UFJ銀行)が所有していた旧大和生命ビルだ(紹介写真は、清水建設200年史より。建設時の「日本徴兵保険名古屋支部」で掲載されている写真。pdfファイルにつき注意ください)。
現在は既に取り壊され、駐車場になっている。
他にも、某銀行のビルも趣きのあるビルで、好きな建物の一つだった。
コチラは建て直しがされ、その頃の面影を少し残しつつコンクリートのビルになってしまっている。

ただ、今このような昭和初期~戦時中の建築物を建てようとしても、おそらく無理なのではないだろうか?
費用面と言うだけではなく、当時のような大きな大理石などの建築資材が手に入るとは思えないからだ。

確かに、昭和初期~戦時中に建てられた建物は、今では使い勝手が悪いと思う。
しかし、一度壊してしまったら、再建することが出来ないこともまた事実だろう。
とすれば、外観だけではなく内装も再び使えるような取り壊し方をし、今にあったフロア-造りをすると言うコトは出来ないだろうか?

欧州の古い街並みには、趣きがありながらも今と言う時代の中でも、キチンと息づいている。
新しいモノを手に入れると言うコトは、確かにウキウキすることだし「未来感」がある。
だが、古いモノへ未来感を吹き込むという発想があっても良いのではないだろうか?
そのための技術を日本の企業は持っていると思うのだが・・・(と言うよりも、願いたい)。