日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

日本の新しい「モノづくり」

2011-11-23 19:40:15 | ビジネス
今年は、日本のものづくりが元気の無い1年になりそうだ。
そのきっかけとなったのは、東日本大震災だったと思う。
その後も、日本には次々と災害が襲い掛かった。
そして最後(であって欲しい)にダメージを与えたのは、おそらくタイの大洪水だろう。
他にも円高という、経済的要因も忘れてはならないと思う。

そのようなニュースばかりに接していると、「今後の日本はどうなってしまうのだろう・・・」と、心配になるのは仕方の無いこと。
だが、他の「モノづくり」に目をやれば、まだまだ日本元気になれる要素があるんじゃないか?という気持ちにさせてくれる。
実は、そんなニュースが昨日新聞各紙に掲載されていた。
それが、副作用ほとんどない抗がん薬、浜松医科大が開発(紹介記事は、内容が一番詳しく掲載されていた讀賣新聞)。

この開発された抗がん剤が優れている点は、タイトルにある通り「副作用がほとんど無い」という点。
私自身、がんという病気になるまで知らなかったのだが、「抗がん剤」の場合、市販されている風邪薬や胃腸薬、頭痛薬などとはまったく違う考えから開発が始まっている。
それが「副作用」に対する考えだ。
自分の細胞が増殖し続ける、というのが「がん」の特徴。
がん化した自己細胞をたたくために「ある種の毒薬」のようなカタチで、抗がん剤を投与することになる。
当然、健全な細胞にも影響を及ぼし、それが「副作用」となって現れるコトになってしまう。
そのため「抗がん剤」の開発というのは「副作用があって当然」という考えから、開発がスタートするという。
その「開発スタート」の考えを覆すような新薬の研究が、この日本で行われていた、というコトがとても重要なコトなのだ。

それだけではなく、実は日本の製薬会社は新薬の開発にとても力を入れている。
ユニークなところでは、三浦半島に生息している「クロイソカイメン」の成分から、新しいタイプの乳がんの抗がん剤をエーザイが開発し、日本では今年7月から発売されている(米国では昨年秋に承認・認可が下りている)。
この抗がん剤は、現在使われている抗がん剤の効果が期待できない患者さん向けのモノで、世界的に承認・認可されている。
すなわち、抗がん剤という薬の開発には、膨大な費用と時間が必要とされるが、承認・認可されると世界中がその抗がん剤を「標準治療薬」として使う、というとても大きな市場を持つている。

長い間、日本の経済を引っ張ってきた自動車や家電といった産業から、新薬を中心とした産業の「モノづくり」が、日本の経済の中心になってもおかしくは無いのだ。
「モノ作り=自動車・家電(トヨタやパナソニック)」ではない、「モノづくり」にもっと注目すべきなのかもしれない。