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「江崎グリコ」の広告・・・大阪の広告は面白くて、せつない

2015-10-02 18:37:02 | CMウォッチ

昨日、江崎グリコが新聞の真ん中に2面を使った広告を掲載していた。

江崎グリコ:ゴールではなく、スタートだ。

この広告は「江崎グリコとグリコ乳業が、一つの会社になりました」という、報告をするための広告だ。
報告するだけではなく、一つの会社となった理由や目的、そして目指すコトを、広告の中で言っている。
それを象徴するのが「ゴールではなく、スタートだ」という、キャッチコピーだ。

グリコといえば、ゴールをする選手の姿が、トレードマークとなっている。
だが、あえて「ゴールではない」と言い切り、新しいスタートのために「一つの会社としてゴールをした」ということを、伝えている。
その点で考えると、わかりやすく伝わる広告だと思う。

その新聞に掲載された広告よりも、印象的な広告をグリコは出していた。
場所はおなじみ「道頓堀」。
道頓堀のグリコの電飾看板(正しくは「道頓堀グリコサイン」というらしい)といえば、大阪・道頓堀に行ったことがない人でも「あぁぁぁ、あそこか!」と、思い浮かべるコトができるほど、有名な看板でありグリコを象徴する広告だと思う。

この電飾看板、2002年のW杯の時には、ランニングから日本代表の青のシャツに着替えたりして、その時々の話題に合わせた「衣替え」をしてきた看板でもあった。
その電飾看板が、期間限定ではあるが「ゴールをする選手の生い立ち」というテーマで、見るコトができるようだ。
THE PAGE:道頓堀グリコ看板が子供から大人に?8日まで特別映像放映

この映像を見ていると、面白さを感じるだけではなくどこかせつなさも感じるのは、私だけではないと思う。
ハイハイからふらつきながらの立ち歩き、走り出すも転んで、成長しても雨の中を走ったり、息切れをして、しばらく休み、そしてまた走る・・・なんとなく、人生そのものだな~という気がしてしまったのだ。
それでも、その先のゴールを目指し走る姿、というのはグリコそのものの歩みだったかもしれないし、私たち自身の姿かもしれない。

そんな思いで、この看板を見ていたら一つ気が付いたコトがある。
それは、大阪の広告というのは、このような「面白いけど、なんか、せつないな~」という広告が多い、ということだ。
同じ関西に本社がある「大日本除虫菊株式会社(ブランド名:KINCHO)」のCMなども、面白いのにペーソスに富んだものが多い。
関西独特(といっても、主には大阪だが)の感性なのかもしれないが、この感性で2020年の東京オリンピックエンブレムをはじめとする広告・広報をしたら、どうだろう?と、真剣に思ってしまった。
格調が高くないかもしれないが、どこか人間味のある共感性の持てるプロモーションができるのではないだろうか?
経済成長や国力を示すオリンピックではなく、トップアスリートも障害のある人も、運動が苦手な人も一緒になってオリンピックを創っていきましょうよ!・・・そんなオリンピックプロモーションができるのではないか?という、気がしたのだった。