今日の朝刊に、VWの「排ガス問題」に関する謝罪広告が掲載されていた。
フォルクスワーゲンHP:フォルクスワーゲンから皆様へ
この広告をお読みになった方も多いと思うのだが、どのような感想を持たれただろう。
私の感想としては、フォルクスワーゲンにとってのお客様とは、どんな位置づけなのか?という、本音が読み取れるような気がしたのだった。
私がそう感じた大きな理由は、
「フォルクスワーゲンは、クルマづくりにおいて最も重要な部分である゛お客様からの信頼”を傷つけてしまいました」
という部分だ。
「クルマづくりにおいて、最も重要な”お役様からの信頼”を傷つけてしまいました」ではなく、「最も重要な部分」としている。
どうやらVWにとって「お客様は、重要な一部分」ということらしい。
この「重要な一部分」という考えが、なぜ出てきたのか?と、考えることでVWの考えるお客様の姿が見えてくるような気がする。
それは「商品を購入した人=お客様」というとらえ方だ。
「それは当然だろう!」と、思われるかもしれないが、「クルマづくり」に携わってきた人すべてをお客様」としてとらえる傾向のある日本の企業とは、随分とらえ方も考え方も違う。
確かに、その下にある「文章」には「60年もの長い間、お客様からの信頼に支えられクルマづくりを行って参りました」とあるので、「重要な一部」ではあるが、お客様もクルマづくりに参加している、ような印象がある。
あるのだが、果たしてその「クルマづくり」にユーザーや社会の声が、どれだけ反映されていたのだろうか?という、疑問もある。
ドイツ以外の国のユーザーの声を反映した、クルマづくりというのは、難しいとは思うのだが、文章全体から感じられるのは、「企業>>>ユーザー>>社会」という企業文化を持っているように思われる点だ。
もう一つVWの企業文化を感じたのは、VWのHPを見たときだ。
実は、リンク先の「謝罪広告文」は、VWのHPトップに表示されるものではない。
HPトップに表示されるのは、 「GOLF&POLO40周年記念エディション」だ。
おそらく、日本の企業であれば「謝罪広告」をHPのトップに表示させることで、より「謝罪の意思」を強く打ち出すと思うのだが、謝罪そのものが「HPのコンテンツの一部」になってしまっている。
ドイツと日本の企業文化、社会文化の違いといってしまえばそれまでなのだが、少なくとも日本という市場でビジネスを展開するのであれば、日本向け謝罪の仕方、広告表現ということを考えることが大切な気がする。