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三菱自動車の不正問題と前例主義

2016-08-03 19:06:46 | ビジネス

三菱自動車の「燃費不正問題」で、昨日調つ査委員会からの報告があった。
朝日新聞:三菱自幹部、新入社員の不正指摘を放置 調査委会が報告書

調査委員会側が指摘した「新入社員が、不正を指摘するというインパクトがある出来事なのに、会社幹部が覚えていない、というのは組織的隠ぺい体質があったのでは」という指摘がされている。
確かに、第三者から見ればインパクトのある出来事であったのでは?と思うし、そのような指摘をされても仕方ないはずだ。

しかし、当事者である幹部たちが「覚えていない」というのも、分かるような気がするのだ。
単純に「覚えていない」のではなく、「最初から、聞く気が無かった」ので「覚えていない」という気がするからだ。
最初から聞く気が無く、話の内容よりも「話を聞いた」という事実だけが重要で、半ばその会議(?)が「セレモニー化」していてたとしても、不思議ではないだろう。
あくまでも想像の範囲なので、本当かどうかはわからないが、その話を聞いた幹部側の思考として「新入社員に、この会社のことがわかるのか!」という、気持ちはあったのでは?という気がするのだ。
だからこそ「聞く気が無い話」として、最初から情報を遮断していたのではないだろうか?

そう考えると、この「新入社員の指摘を放置」という問題は、決して三菱自動車幹部だけのことではない、ということになる。
違う言い方をするなら、「前例主義の組織体質」ということになるのかもしれない。
もしくは「硬直化した組織」ということになるのかもしれない。

既に出来上がって、それなりの実績を積んできた組織(企業)は、「異質」を受け入れることが苦手だ。
「異質」というのは、「新入社員」であったり、「女性」や「障害を持った人」、あるいは「外国籍の人」などになるだろう。
「新入社員」は、入社後数カ月は「異質」な存在であっても、徐々に組織の一員となっていく。そのころになってやっと「異質な存在」から「仲間」という扱いになっていくはずだ。

「仲間」以外の人物から、自分たちの間違いを指摘されたら、多くの人は拒絶反応を起こすのでは?
それと同じことなのだと思う。
その視点で考えると、この報告書の指摘は三菱自動車幹部だけではなく、多くの企業が潜在的に持っている問題だという気がする。