フランスのファッションデザイナー、ソニア・リキエルが亡くなった。
長い間、パーキンソン病を患っていらっしゃったようだ。
そのためだろうか?ここ何年もコレクションを発表した、というニュースを聞かなかったような気がする。
それでも、彼女の残したモノは大きいと感じている。
メディアでは「ニットの女王」と表現されるコトの多い、ソニア・リキエルだが個人的には「ノアール(=黒)のデザイナー」という印象を持っている。
彼女の創りだすファッションは、着心地が良く体にフィットするデザインが多かった。
それは、メディアが伝える通り「ニット」素材を巧みに使っていたからだ。
「ニット」という素材を活かすために、カッティングなどの技術は高いモノが求められたはずだ。
個人的に「ノアール(=黒)のデザイナー」という印象を持っているのは、彼女が一番活躍をしていた頃、圧倒的に「黒」を基調としたデザインが多かったからだ。
「黒」一色のデザインではなく、「黒」という色を引き立たせるために様々な色を使っていたように思うからだ。
ベースとなるのはあくまでも「黒」。
その「黒」を引き立たせるための色使いをし、女性らしさを表現するために「ニット」という素材を使っていたように感じていたからだ。
おそらく、私と同世代~バブル期を20代で経験した女性であれば、ソニア・リキエルの「SR」のロゴの入ったバッグや財布などを何かしら持っていた方は、多いだろう。
もちろん、ニットのワンピースなどのドレスを持っていた方も、多いはずだ。
その視点で考えれば、アズディン・アライアが創りだした「ボディー・コンシャス(略して「ボディコン」)」のような「女性を強調する」デザインではなく、対照的なデザインだったかもしれない。
そのデザインが一番イキイキとするのが、「黒(=ノアール)」だったように思っている。
考えてみれば、女性のファッションデザインで最初に「ニット素材」を使ったのは、ココ・シャネルだった。
シャネルが使った素材は、ニットの中でも「ジャージ」と呼ばれる伸縮性のある素材だった。
それまで、スポーツ衣料素材として使われていた「ジャージ」を、働く女性たちが心地よく動けるように、という考えでシャネルは「ジャージ」を使ったと、言われている。
それだけではなく、シャネルもまた好んで使った色の一つが「ノアール(=黒)」だった。
在りし日のシャネルの写真を見るとわかるのだが、黒のシャネルスーツに身を包んだ写真が数多くある。
そう考えると、ソニア・リキエルはシャネルの系譜を継いだデザイナーだったのかもしれない。