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「信賞必罰人事」で、シャープは復活するのか?

2016-08-22 20:03:48 | ビジネス

経営不振に陥っていたシャープが、台湾の鴻海に買収されたことは、ご存じの通りだ。
その後のニュースとして、朝日新聞のWEBサイトに、社員に向けお達しがあったという記事(有料会員のみ全文購読可)
朝日新聞:シャープ新社長「信賞必罰の人事を徹底」社員にお達し

個人的に、この「信賞必罰」という言葉に、余り良い印象を持っていないためか?シャープは本当に復活するのか?と、疑問に思ってしまったのだ。
確かに、良い行いをしたコトに対しては「賞」し、悪い行いをしたときには「罰」を与える、ということは、悪いコトではない。
疑問に思ったのは、その「賞・罰」を決めるのは、誰なのか?ということなのだ。

「信賞必罰」を決めるのは、おそらく企業における「上司」と言われる人たちだろう。
平社員であれば、課長職や課長職に準じるような役職者だろうし、課長職であればそのうえの部長職や部長職に準じる役職者、ということになるだろう。
そうなると、人の気持ちや行動として考えられるのは、「気に入られる」ということのような気がするのだ。
今時、そのような人事評価をしている企業など無い!と、言う方もいらっしゃるとは思うのだが「人が人を評価する」という場合、単なる数字だけで判断するわけではないはずだ。
そうなると、悪い情報を上げにくく・都合のよい情報ばかりを伝えやすい社内環境に陥るのでは?という、懸念をするのだ。

その一例が、三菱自動車における一連の「不正事件」だ。
当事者側は、余り意識していなかったかもしれないが、都合の悪い情報は上司には報告しない、とか、時代とはそぐわない前例主義が社内ルールとなっていたりしたコトで、企業全体が「不正隠ぺい工作」をしていた、という状況に陥っていた。
さらに悪いことに、そのような状況に陥っていているコトに、気づかなかった。
その結果は、日産の傘下に収まり経営陣の一新となってしまった。
おそらく、名門「三菱自動車」の復活はないだろう。

そう考えると「信賞必罰」よりも先に大切なコトが、あるような気がするのだ。
一つは当たり前の事ではあるが「(悪いことも含め)報・連・相」の徹底だろう。
問題を社内全体(少なくとも横断的関係部署)での、情報の共有。
肩書や役職にとらわれない、柔軟な意見交換ができる社内環境づくり・・・など、企業で働く人たちが、のびのびと自由に意見や考えを持ち寄り、部門だけの短期的利益を求めるのではなく、長期的利益を社会に与え続けられるような、評価をしていく方法づくりだと思う。

鴻海の現会長さんは、一代で企業を大きくした経営者だ。
ワンマン経営をする、ということも聞いている。
そのような経営者には「信賞必罰」的人事をする傾向がある、とも言われている。
しかしシャープという企業は、すでに成熟した企業だ。
だからこそ、ワンマン経営的発想の「信賞必罰」人事だけでは、社員の気持ちや生活者の気持ちをつかむことは難しいような気がするのだ・・・。