日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

イメージを変える大変さ

2016-08-23 19:58:28 | ビジネス

Yahoo!のトピックスに、老舗酒蔵の倒産というニュースが取り上げられていた。
Yahoo!トピックス:業歴126年、銘酒「国の寿」酒蔵の目野酒造(株)が倒産へ

最近、酒店だけではなく大手スーパーなどの酒売り場に行くと、少しずつではあるが「日本酒」の売り場が広がっているように感じる。
と言っても、昔ながらの一升瓶が並んでいるのではない。
日本酒を入れる瓶などが、おしゃれなデザインの物や軽量化されてパッケージの物が、売り場を広げているのだ。
特におしゃれなデザインの瓶の日本酒などは、若い女性なども手に取っている風景を見るコトも多い。

その一方で、Yahoo!のトピックスで取り上げられたような、老舗酒蔵が倒産に追い込まれる場合も少なくない。
東日本大震災の時は、東北の酒蔵が生産をあきらめ、自主的倒産をしたケースもあったと、記憶している。
そもそも日本の酒蔵は、大手酒造メーカーのような大規模なところはほとんどない、と言ってよいと思う。
その代わり、地方ならではの小さな酒蔵が多数あり、その地域に根付いた日本酒をつくっている。

ただ、戦後~高度成長期にかけ、日本酒そのもののイメージが悪くなった時期がある。
今でも「日本酒は悪酔いする」という、イメージを持っている方も少なくないのでは?
どのお酒でも、沢山飲めば悪酔いすると思うのだが、日本酒の場合上述した通り戦後~高度成長期にかけ、質の悪い安価な日本酒が出回っていた時期があった。
その時のイメージの悪さが、今でも「日本酒=悪酔い」というイメージを引き継いでしまっているように感じるのだ。
もちろん、昼間からカップ酒を飲んで酔っ払っているやさぐれたオジサンの姿を見て、日本酒のイメージを悪く持っている方もいらっしゃるとは思う。

その一方、海外では日本食ブームに伴い、日本酒もブームになりつつある。
しかし、繊細な味わいのある日本酒を海外で楽しんでもらうためには、温度管理などがとても難しいと言われており、海外では「高級酒」として扱われるコトもあるようだ。
日本とはずいぶん違うイメージで、海外では「日本酒」をとらえているようだ。

そのようなこともあってだろう、最近では若手酒造家さんたちが、新たな「飲み方」の提案を積極的にしている。
先日もFMを聞いていたら、そのような活動をされている酒蔵さんが紹介されていた。
何でも日本酒を冷酒で楽しむ時には、ワイングラスでいただくほうが、美味しいらしい。
確かに、ワイングラスで日本酒を頂くとなれば、カップ酒のような飲み方はできない。
美味しい食事と一緒に、時間をかけながらゆったりと日本酒を飲む・・・そんなイメージがわいてくるからだ。

老舗酒蔵の倒産というのは、とても残念な気がする。
その酒蔵が育てた麹も、一緒に無くなってしまう可能性があるからだ。
その麹だけでも残し、新たな日本酒づくりを若手酒造家たちが、新しいイメージの日本酒を提案してほしいと願っている。