日々是マーケティング

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日本は「女性にとって発展途上国」なのだろうか?

2016-08-06 19:46:00 | CMウォッチ

Yahoo!のトピックスにも取り上げられていた、ポーラ化粧品のリクルートCM。
このCMで、注目されるのは「日本という国は、女性にとって発展途上国だと思う」という、コトバだろう。

ポーラ化粧品:リクルートCM
コピー機の前で、漠然とコピーをとる女性。
溜息をつきながら、(妊娠のため)大きくなったお腹をさする女性。
洗面所で、涙をこらえている女性。
自分も出席していた会議が終わった後、片づけをする女性。
登場する女性たちの姿は、私の20代~30代の頃、頻繁に見た「ありふれた光景」だった。
今でも「女に仕事は任せられない」と、言い切る男性も少なからずいらっしゃる。
能力的問題以前に、女性であることが仕事でのハンディとなる場合が、現実としてあるのは事実だろう。

その一方、安倍政権は「一億総活躍社会」を目指している。
この「活躍社会」というのが、実に曖昧なため「何をもって活躍というのか?」という点が不明なため、「仕事をしている人=活躍している人」と、とらえられてしまっているような気がする。
そうなると「仕事をしていない人」は、活躍していない人なのか?ということになる。
その「仕事」も、男性から見た仕事では、女性は活躍していないに等しいかもしれない。
だからこそ、家事をし、子育てをして、介護までやってほしい、できれば仕事も・・・という、男性側から見た要求の現実が見えてくる。

男性の尺度で仕事をさせられ、「女の子の仕事」という概念の中で「私のやりたい仕事は、こんな事じゃない!」と、もがき苦しんでいる女性たちにスポットを当てた点では、素晴らしい視点だと思う。
何より、私が社会にでて30年以上経っても、男女雇用機会均等法が施行されても、日本のビジネス慣行はほとんど変わってはいない、という事実を突きつけた点でも、優れていると思う。

しかし、視点を変えるともしかしたら「女性にとって,発展途上国」なのではなく、「男性にとっても発展途上国」なのかもしれない。
CMの中にあるように「様々なしがらみ」に縛られて、仕事をしているのは男性だ。
その「しがらみ」に縛られ、本当は休みたいのに休めない、という社会慣行に苦しんでいるのは男性なのでは?
そう考えると「日本は、男性が自分らしく生きるコトができない、発展途上国」かもしれない・・・という気がするのだ。