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コンサートの衣装は、誰の責任?

2016-11-03 19:31:56 | アラカルト

しばらく前に、AKB48の姉妹グループ「欅坂26」のコンサートの衣装が、ナチスの制服を彷彿させると話題になた。
話題というよりも、「問題」になったといったほうがよいだろう。
HuffingtonPost:欅坂46「ナチス風衣装」でユダヤ人団体が抗議 秋元康氏とソニーミュージックに謝罪要求

日本のアイドルのコンサート衣装では、時々「それって、まずいんじゃない?」と思われる衣装が使われるコトがある。
随分前だが、某国民的アイドルのコンサートをテレビの情報番組で紹介されて時、鍵十字を使った衣装で、ビックリしたコトがあった。
ご存じの通り「鍵十字」は、ナチスをイメージさせるもので、今回のような話題にならなかったのは、当時はSNSはもちろん、インターネットなども普及しておらず、世界に向けて情報が発信されていなかったからだろう。

今回の件で、違和感を感じたのは謝罪要求の中に、CDなどの音楽関係のソニーミュージックが含まれていたことだ。
そして、スポーツ紙などではソニーミュージック側の謝罪のほうが、秋元康氏のコメント(謝罪文を読む限り、謝罪をしている、という印象がなかった)よりも、先に大きく取り上げられていた。
ソニーミュージックは、あくまでも「音楽」という部分での責任を負う側で、コンサートの衣装まで責任を負う必要があるのだろうか?と、疑問に感じたのだ。

コンサートで使われた楽曲(=CDに含まれている、あるいはCDに入れる予定の楽曲)ということであれば、音楽的部分で責任を負う、ソニーミュージック側の責任は大きいと思う。
CDジャケットについても、同様の責任を負う必要があるだろう。
責任があるからこそ、何かトラブルが起きた時「CDを回収する」ということができるのだ。
一応オフィシャルサイトをチェックしたのだが、このような衣装のCDジャケットは確認できなかった。
しかしコンサートの衣装となれば、むしろコンサートを演出する側のほうが責任が大きいのでは、ないだろうか?

確かに、謝罪要求をしてきたユダヤ人団体は、ソニーミュージックにも謝罪を要求してきた。
「音楽の部分での責任はとれるが、コンサートの衣装まで責任はとれない」とは、言えなかったのだろう。
それでも、真っ先に謝罪をするのはコンサートをプロデュースする側であり、「ありえない衣装でした」では、済まされないはずだ。
このコメントでは、コンサートを演出する責任というものが、感じられない。

日本では、見た目のカッコ良さだけで、世界的なタブーを無視する傾向がある。
「無視」をしているのか、「無知」なのかはわからないが、今回のようなアイドルの演出では、そのような傾向がある。
ただ「無知」では、済まされないコトなのだ。