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トランプ大統領誕生とイギリスのEU離脱は同じ?

2016-11-09 17:22:58 | アラカルト

今回のアメリカ大統領選挙は、前評判を覆した結果となったようだ。
この結果がアメリカ国民にとって良かったのか悪かったのかが、わかるのは4年後ということになる。

新しい大統領となる、トランプ氏は「アメリカファースト」を掲げ、予備選挙を戦ってきた。
大統領選に関しては、ヒラリー氏に対する個人攻撃に終始し、まともな政策・経済論争を避けたような印象しかないが、それも一つの「戦術」であったのだろう。

というのも、トランプ氏が掲げた「アメリカファースト」の内容は、「白人男性中流労働者層」という、とても限定的な支持層に向けられた内容が多かったからだ。
その一つが「移民問題」だろう。
トランプ氏が勝った州を見てもわかるのだが、トランプ氏が勝利した州の多くがこの「移民問題」を抱えている。
抱えているだけではなく、まさに「白人男性・中流労働者層」の共和党支持派が主流の地域だからだ。
「支持層=白人男性」と「白人男性」に限定しているわけではなく、一般的な社会不安を持っている「代表的な像」ということだ。

この支持層は、違法移民を含めた移民によって雇用不安を感じている層でもある。
「移民を締め出せ!」という、トランプ氏の言葉に一番共感できる支持層でもあるのだ。
それだけではなく、「白人中流労働者層」そのものが、減少していっているという事実がある。
その視点で考えれば、今までアメリカの主流派であった「白人社会」が少数派になり、黒人やヒスパニック系、アジア系などの「移民」が主流に転換する分岐点となるタイミングで行われたのが、今回の大統領選であった、ともいえる。
旧主流派となる「白人中流労働者層」が感じている「危機感」が、トランプ氏を大統領にさせた、と言えるのかもしれない。

今回の選挙と同じような感じが、今年の夏にもあった。
それは、イギリスのEU離脱だ。
国民投票をしたうえでの結果が、EU離脱だった。
しかし、離脱決定直後から「投票のやり直し」の運動が起き、イギリス国内での混乱を感じさせた。
この時も離脱を支持した層というのは、「今のEUに不満を持っている」というよりも、「イギリスに主導権がない」ことへの不満だったような印象があった。
「自分たちに主導権がない」ことへの不満が、EU離脱へと向かわせたでは?という、気がしている。

トランプ氏の政治・経済についての政策は、今のところ全く分からない。
何よりトランプ氏が、予備選で掲げた「アメリカファースト」を実行できるような、国際社会でもなくなってきている。
トランプ氏が掲げた「アメリカファースト」は、その実「白人・男性・中流労働者」という、限られた支持層に向けた内容でしかなかったからだ。
内向きな政治・経済政策では、「アメリカファースト」の政策にはならない。
そのことに、トランプ氏や支持層はいつ気づくのだろう?