AERA STYLE MAGAZINEのWEBサイトに、掲載されているバッグに目が留まった。
AERA STYLE MAGAZINE:モンブラン タトゥー プロジェクト2017
タイトルにタトゥーとあるように、皮革にタトゥーを彫り込んだバッグのようだ。
いわゆる人の体に入れるタトゥーとは違い、随分アーティスティックな雰囲気を持つバッグに仕上がっている。
そしてこのようなデザインのバッグなら、着物を着た時などに持ってみたい、という気がした。
もっとも、着物そのものを着る機会がほとんどないので、実際に買って持つということは無さそうだが、それにしても随分と印象が違うものだ。
ご存じのように、日本の社会では「タトゥー」に対して、余り良い印象が持たれていない。
実際、しばらく前に友人とランチを食べに出かけた洒落たカフェのオーナーさんが、余りにも見事なタトゥーを入れていて、ギョッとしたことがあった。
帰り際、友人と「せっかくオシャレでおいしいカフェなのに、オーナーさんが・・・」という話になり、「次回は無いね」ということになった。
タトゥーを入れる・入れないは、あくまでも個人の問題だが、人が集まる温泉やプールなどでは入場規制の対象となっているのは、ご存じの通りだ。
タトゥーを入れている本人がいくら社会的問題が無い人物であっても、周囲が良しとしていない、というのが現状だろう。
日本では、罪人を示す為に入れ墨がされてきた、という歴史的背景もあるからだ。
その一方で、日本の彫り物師が描き出す刺青の中には、芸術性のあるモノもない訳ではない。
何より、日本の彫り物師の技術はとても高い、という話を聞いたことがある。
何より、今現在日本では入れ墨などができるのは、医師に限られている。
毎日新聞:入れ墨判決 彫り物師「医師免許を求められれば仕事出来ず」
一般的な外科医が、彫り物師を目指すとは思えないが、法律上は医師以外は彫り物師ができないことになっている。
すなわち、街中で見かけるタトゥーを施術するお店の彫り物師は、無免許で施術をしている、ということになる。
もし、街中にあるタトゥーを施術する彫り物師が、人の体ではなく皮革に施すのであれば、問題はないのでは?
バッグなどに加工するのだから、当然それなりのデザイン力やセンスといったものが、必要になる。
逆に、街中で見かける安っぽい(と言っては失礼だが)タトゥーのお店は、淘汰され本当に技量のある彫り物師だけが、残っているような気がするのだ。
それは、日本の文化の中で生まれ・育ってきた「入れ墨の技術と芸術性」を維持することにもつながるのでは?
むしろ、文化としての「入れ墨」ということを考えれば、人の体にこだわるのではなく社会に認められるようなあり方を模索する必要があると思う。
それにしても、モンブランも思い切ったプロジェクトを展開しているものだ。
これまでのタトゥーのイメージを一新するには、十分すぎるプロジェクトであり、彫り物師を「クラフトマンシップ」という視点でアプローチをしている点も面白いと思う。