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フリージャーナリスト、安田さん解放で見えてくる「中東情勢」

2018-10-25 22:01:38 | 徒然

シリアで行方不明になり、その後過激派組織に3年余り拘束されていたフリージャーナリストの安田さんが、開放され帰国された。
SNSなどでは、安田さんに対する「自己責任」を問う内容が、飛び交っているようだ。
このような事件が起きるたびに、「自己責任」を問う社会的風潮があるが、今回個人的に注目したいのは安田さんの解放に、カタールとトルコという国が大きくかかわっていた、という点だ。

ダーイッシュ(=IS国)が登場する前にも、中東では過激派組織が、欧米のジャーナリストを拘束して来たような記憶がある。
そのたびに、交渉の表舞台に登場したのは「赤十字」だった。
もしくは、欧米とは距離を置くフィンランドなどの北欧の国々だった。
それが今回は中東という地域内にあるカタールとトルコという国が、開放の橋渡しをしている。
意外な印象を持っただけではなく、この二つの国と拘束をしていた過激派との関係、トルコと米国のトランプ氏、トルコとロシアとの関係など、様々な視点で観ていくと、今の世界の「中東をめぐる勢力図」のようなものが見えてくるような気がしたのだ。

今回の安田さんの解放にカタールが大きくかかわったとされる理由が、安田さんを拘束していた過激派の後ろ盾となっていたのがカタールであった、ということが言われている。
国家が過激派を支援・後ろ盾となっていた、という報道には正直驚いた。
中東の国々の多くは「王国」であり、王様とその一族が国を支配しているので、王様とその一族に反する勢力を潰す為には、そのような(半ば)専門の組織が必要だろう。
サウジアラビアで起きた、ジャーナリストの殺害事件の背景には「現政権(=皇太子)に対する批判」ではないか?と、言われている。
もちろん、表立ってサウジアラビアの現政権はそのようなことは認めてはいないし、おそらくウヤムヤのうちに片づけられるだろう。
そう考えれば、「さもありなん」ということにはなるのだが、それは国を統治する王様とその一族のメリット、ということになる。

では、過激派側としてのメリットは何か?
安田さんが行方不明になり、過激派に拘束されたのはシリアだ。
拘束された当時は、まだまだダーイッシュ(IS国)の活動が盛んで、ダーイッシュの考えに感化された欧州のアラブ系(だけではなかったが)の若者たちが、シリアへ向かった頃でもある。
それから3年の間で、ダーイッシュ(IS国)はシリア軍と反目する過激派組織によって、ほぼ殲滅されたと言われている。
過激派の勢力図が変わった3年間でもあるのだ。

ダーイッシュ(IS国)がほぼ殲滅された、という報道があったときにはシリア軍の活躍(?)は報道されたが、反目する過激派についてはほとんど報道されなかったように思う。
「過激派同士の内輪の権力争い」という印象だった。
ところがその「内輪の権力争い」の中に、中東の国が関わっていたとすれば、それは一体何を意味するのだろう?

トルコについては、親日の国として日本でも良い印象がある。
そのトルコが、過激派組織と繋がっていた?となると、心穏やかな話ではない。
まして、その後ろにロシアが関わっている?という話まで聞こえてくると、中東をめぐる世界の覇権争いのようにも見えてくる。
それは中東から石油資源を輸入している日本にとっても、遠い話ではないはずだ。

「フリージャーナリストの安田さん解放」の背景を考えると、今の中東情勢とこれからの石油資源と経済というものまで見えてくるのでは?という、気がしている。