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りそなHDの「核製造企業」への融資禁止が与える影響

2019-01-06 23:35:18 | ビジネス

Yahoo!のトピックスにも取り上げられていた「りそなHDの核製造企業」に対する融資禁止のニュース。
毎日新聞:りそなHD 核製造企業への融資禁止 大手銀初の宣言

このような「核製造企業」に対する投融資を制限・禁止するのは世界的潮流であるという記事も掲載をしている。
毎日新聞:核兵器製造企業 投融資、厳しい目 世界では329機関が55兆円 ICAN、リスト化で圧力

ICANは2017年にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」のことだが、唯一といってよい「原爆被爆国」でありながら、日本政府はこのようなキャンペーンに対して消極的という印象を持っている。
明確な理由を日本政府が発表していないので、あくまでも想像でしかないのだが、多くの人が感じているであろう「核の傘の下」という状況に日本が置かれているからだろう。
だからこそ、りそなHDがこのような宣言をしたコト自体、やや驚きでもあるのだ。

ICANが作成した一部リストにある企業名は、いわゆる誰しもが知っている企業名がほとんどだ。
そして、これらの企業に関わる中小企業は、とても多いはずだ。
リストに掲載されている企業以外に、どれほどの企業があるのかは分からないが、裾野の広い産業であればあるほど、経済的影響は大きいとおもわれる。
そしてそのような企業に対して投融資を行うということは、銀行側にとってもメリットの多い投融資先だといえる。
そのような企業に対してあえて投融資を行わない、という宣言の目的は何だろう?と、考える必要があると思う。

考えられることの一つは、「社会に対してリスクのある企業への投融資をしない」という企業姿勢を示す、という点だろう。
これから先、銀行をはじめとする金融業は、社会に対して公正な企業である、ということを示すことが多くの生活者(=市場)から信頼を得ることになる。
欧州の銀行などが、積極的に「社会リスクのある企業に対しての投融資をしない」ということを宣言するのは、目先の利益ではなく将来的社会の安定や生活者に対するメリットがある、と考えてのことだろうし、そのような企業姿勢が社会から大きな信頼を得ると考えているからだろう。
もう一つ考えられるとすれば、(実際のところは分からないが)日本の企業にはそのような投融資先が少ない為、余り影響がない、という判断もあったのかもしれない。

今や銀行に代表されるような金融業であっても、その投融資先がどのような企業であるのか?ということが、問われるようになってきている、ということを象徴しているような気がするし、そのような傾向は金融業だけではなく通信関連のような企業にも広がっていく可能性があるのでは?
そう考えると、りそなHDの今回の判断に追従する企業がどれほど現れるのか?それが、世界から見た日本の企業の新しい価値ような気がする。