日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

いつも市場に商品が無くてはいけないのか?

2019-01-14 19:38:08 | ビジネス

朝聞いているFM番組中に、農業関連のニュースのコーナーがある。
そのニュースで「ジビエ」について、取り上げられていた。
ご存じの通り「ジビエ」とは、野生鳥獣の食肉のことだが、ここ最近では「獣害」対策の一つとして、積極的に使おうという機運が高まり始めている。
その意味では、農作物を荒らす猪や鹿を「ジビエ」として、市場に出していくということは、農家さんにとってメリットがある取り組みだといえるだろう。
実際、地方に行くと「ジビエ」を使った地域活性化策なども見かける。
「いのししコロッケ」や「いのししソーセージ」、「シカコロッケ」、「ジビエカレー」などだ。

そのような取り組みでどれだけの成果が上がっているのだろう?と、疑問なところもあるのだが、それよりも「安定供給」という点ではどうなのだろう?と、疑問に思ったのだ。
というのも、実家の父が知人から秋から冬にかけ仕掛け罠で獲った猪や鹿の肉を頂く、と話すからだ。
高齢の父にとって、いくら脂肪が少なくミネラル豊富で高たんぱくな「ジビエ」であっても、食べきれる量ではなく、結局ご近所さんに分けることになっているらしい。
名古屋に住む私からすれば、なんとももったいないような羨ましいような話だが、これらの猪や鹿の肉は通年を通してあるわけではない。
狩猟の時期に限定されるのはもちろん、そう簡単に仕掛け罠にかかるわけでもないようだ。
言い換えれば、極めて不安定な入荷物ということになる。

今の食品市場では「通年の安定供給」ということが前提になっている(ように思う)。
もちろん、季節の野菜や魚などはあるが、「食肉」となると畜産農家さんが高品質の食肉を安定的に供給する努力をしてくれている。
そのため、価格も通年の安定供給が可能となっている。
しかし「ジビエ」は、そのようなわけにはいかない。
冷凍技術が進歩しているとはいえ、狩猟シーズン以外での供給は難しいのでは?という、気がするのだ。
もちろん、「ジビエの6次産業化」により、様々な商品に加工するという方法はあるが、「ジビエ」本来の味を楽しむとなるとなかなか難しいのでは?と思っている。

とすれば、「市場に安定供給をする」という考えそのものをやめてしまう、ということも必要なのでは?という、気がしている。
余りにも便利になり、様々な商品が常に店頭に並んでいるのが当たり前、という時代に「出会いもの」と呼ばれるような商品が、スーパーなどの店頭に、地域限定で置かれるのも当然なのでは?ということなのだ。
逆に、そのような「ジビエ」を買い求め遠方から来るかもしれない。
むしろそのような機会を作り、地域外に発信していくことが、地域の活性化につながるのでは?ということなのだ。