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VOUGEが「その服、必要?」と、問い始めた

2019-01-10 21:54:38 | アラカルト

VOUGEのサイトに、意外な記事があった。
VOUGE:気づいている?ファストファッションの裏にある真実

VOUGEといえば、言わずと知れたファッション誌の代名詞のような雑誌だ。
そのVOUGEのサイト内に、このような記事が掲載されビデオまで製作されている(記事の最後の方にビデオ映像があり)、というのは正直驚いている。
しかも対象としているのは、ファッションに興味を持ち出す10代だ。

ファストファッションの多くは、最低ロットでシーズン中に何度もその時々の流行をとらえながら作られていく。
プレタポルテと呼ばれる既製服のように、1年ほど前に作品を発表しオンシーズンになるまでに、相当数の服を生産し、それなりの価格で販売する、というわけではない。
それは、ビデオでも丁寧に説明されている。
というよりも、丁寧すぎるくらいに説明されているので、ファッション業界に興味のない方でも見る価値は十二分にあると思う。
ビジュアルだけではなく、使われている統計なども信頼があり、ファストファッションの問題点だけではなくファッション業界そのものが陥っている様々な問題にもフォーカスしている。

おそらくVOUGEが訴えたいのは、ファッションは様々な人によって創られている。
そのファッションを思う存分楽しむ為には、今まで目を背けていた部分にも注意を払い、自分で選択をするということを訴えたいのでは?と、感じている。
それは「ファッション」というものを知り尽くしているからこそ、賢く、おしゃれで豊かな感性を持った人になってほしい、というメッセージでもあるかもしれない。

2018年の冬シーズンから、話題になっていることがある。
それは欧州のブランドが、こぞって「毛皮の使用を中止」の発表をしている、という話題だ。
欧州のファッションブランドで、秋冬シーズンのコレクションには毛皮のアイティムは、必須だった。
それは防寒というだけではなく、華やかなイブニングドレスにより豪華に見せるアイティムでもあったはずだ。
その毛皮のから「エコファー」と呼ばれる、化学繊維によるファーアイティムをこぞって発表したのだ。

しかしその「エコファー」も、本当に「エコなのか?」という疑問が、指摘されている。
VOUGEのビデオには登場していないが、「エコファー」が海洋汚染で問題になっている「マイクロプラスチック」を生み出している、という指摘もされているからだ。
上述した通り、エコファーの原材料は、石油から生産される化学繊維だ。
その化学繊維を製造する過程はもちろん、製品化し服として商品化され、購入後洗濯などをすることによって、繊維がマイクロプラスチック化してしまうのだ。
「エコファー」と言いながら、決して「エコ」と言い切れないのが「エコファー」でもあるのだ。

そう考えると、私たちはファストファッションに限らず、クローゼットの見直しをする必要があるのかもしれない。
そんな提案をファッション雑誌の代名詞であるVOUGEが始めている、ということを考えると、ファッションそのものが大きな転換期に入り始めている、ということを感じるのだ。