日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

情報を発信に、必要な力

2019-01-09 20:37:02 | ビジネス

雑誌「週刊SPA!」の特集記事が、炎上している。
ご存じの方も多いと思うのだが、その特集記事とは「ヤレる女子大生ランキング」というもの。
確かに、この手の特集記事というのは「週刊SPA!」に限らず、男性を読者層としている一般週刊誌などでも、組まれることがあった。
流石にここまで、あからさまなタイトルでは無かったように思うが、「世の男性は、このようなことばかり考えて生活をしているのか?」と、思うような記事は、今でも数多く見られるような気がする。

出版社は謝罪を発表しているが、今週発売の特集を見るとさほど反省というか、堪えているようには思えない。
扶桑社:SPA!1月15日発売号「儲かる副業 BEST31

第1特集がタイトルになっているので、このタイトルだけを見るとそのような印象はないが、第2特集は「既婚者合コン攻略ガイド」になっている。
赤をバックに白抜きの文字なので、第1特集よりも目立つレイアウトになっているような印象すらある。
ネット上で様々に言われつくされているので、あえてコメントをする必要はないと思うのだが、「この雑誌を購入する人は、常日頃このようなことばかり考えているのか?」と思われても仕方がないような気がする。
雑誌そのものの品位もあるが、読者の品位を疑われても仕方のない雑誌、ということになると思う。

この手の記事を得意とする雑誌は、以前からあったし今でもある。
だから、このような特集を組むコトが悪い、とは言い切れないのかもしれない。
ただ、このような記事を得意とする雑誌は、それを売りとしてきたので、当然読者も限られていたし、読者も「眉唾もの」として読んでいたのではないだろうか?
それが大手出版社が、若いサラリーマンを対象とした雑誌で堂々とこのような記事を掲載してしまう、というのは何故だろうか?

そしてこのような発想は何も男性に限ったコトではないようだ。
若い女性に人気の下着通販カタログ「ピーチジョン」も、カタログにけ掲載している「ラブポーション」という商品のキャプション(説明文)に、不適切な表現をしていた、として炎上騒ぎとなった。
ファッションスナップ・ドットコム:不適切表現で批判相次ぐ、ピーチジョンのラブサプリ「ラブポーション」販売中止に
詳細は、Yahoo!のトピックスなどにも取り上げられたので、ご存じの方も多いと思う。
批判が出てから、販売中止の判断がされるまで比較的早い印象があるのは、資本関係のあるワコールの判断によるものかもしれない。
おそらく、社長である野田さんであれば、判断は遅れたような気がする。

確かにピーチジョンの下着は、若い女性が可愛くセクシーに装うという提案をしてきた。
そのために、海外の有名ファッションモデルや若い女性に人気のグラマラスなタレントさんを積極的に起用し、人気となったブランドでもある。
もちろん、この時期には「ババシャツ」なども扱っているが、基本路線は「可愛くセクシー」だ。
それは、創業者であり現社長である野田さんの考えが、大きく反映しているのでは?という気がしている。
だからといって、このキャプションはないだろう、と炎上しているのだ。

ピーチジョンにしてもSPA!にしても、それなりの人たちがつくった雑誌やカタログのはずなのに、何故このようなことが起きてしまうのか?
おそらく、自分たちの「これっていいでしょ!」という感覚を、押し付けていることに気づかないからでは?という気がしている。
言い換えれば、市場となる人たちの気持ちや自分たちが市場と考えていない人たちが、「どう感じ・思うのか?」という想像力と、共感性が低いからなのではないだろうか?

共感性というのは、受け手側だけの問題ではない。
情報を発信する側にも受け手側が持っている共感性を感じなくては、受け手となる人達だけではなく社会全体から共感を得ることはできない。
「独りよがりな広告や記事」といってしまえばそれまでだが、情報を発信する側の感性がより強く求められる時代なのだと思う。